☩「核の脅しに屈するな、平和の叫びを天に上げよう」教皇、諸宗教指導者との祈りの集いで

 教皇フランシスコは25日午後、ローマ市内コロッセオで行われた平和祈祷集会に出席。諸宗教指導者らと共に平和への祈りを捧げられた。

 この祈祷集会は、カトリック系団体、聖エジディオ共同体が主催するもので今年で第36回目で、「平和の叫び」をテーマに、23日から開幕した今年の集会には、諸宗教を代表する人々はもとより、フランスのマクロン大統領をはじめとする各国の政治家、学者、国際組織関係者などが参加した。

 教皇フランシスコは、集会最終日、25日、コロッセオで行われた閉会行事に出席。キリスト教の諸教会のリーダーや、世界の諸宗教指導者らと共に、今日最も必要とされる平和を強く祈願された。

 教皇は「今年の集いで、私たちの祈りは『叫び』となった。なぜなら、今日、平和は侵害され、傷つき、蹂躙されています。そして、これはヨーロッパで、前世紀に二つの世界大戦の悲劇を経験したその大陸で今まさに起きているのです」と話され、「残念ながら、大戦後も戦争はその流血と破壊をやめることはなかった。しかし、私たちが今体験している状況は特別に深刻です。それゆえ、私たちは神に祈りを上げた。神は子らの苦しみの叫びに耳を傾ける方です」と説かれた。

 そして、「今夕、沈黙の祈りの中に私たちは平和の叫びを聞きました。それは世界の様々な地域で暴力によって侮蔑された平和の叫び、子どもやお年寄りさえ容赦しない戦争の残忍が奪った平和の叫びです」とされた。

 また、教皇は「あらゆる戦争は、戦争以前よりも悲惨な世界を残す。戦争は政治と人類の敗北である。それは恥ずべき降伏、悪の力を前に屈することです」と述べつつ、過去の悲劇の教訓から学ぶ必要を強調。「それにもかかわらず、今、私たちは、聞くことを恐れてきた『核兵器の使用』という言葉を聞くようになった。広島と長崎の後も、核兵器は製造され、実験され、公然とした脅しとなっています」と核の脅威に言及された。

 一方で、教皇は、「諸宗教間の友愛は大きな進歩を見せ、私たちはいっそうの兄弟愛を感じています」と述べ、「宗教は戦争に利用されてはなりません。平和だけが聖であり、テロや暴力のために神の名が用いられることがあってはならないのです」と昨年の集いのアピールを改めて繰り返された。

 最後に教皇は「戦争を前にあきらめてはなりません。和解の種を育て、平和の叫びを天に上げましょう」と呼びかけられ、聖ヨハネ23世の言葉、「地上のすべての人が、兄弟として結ばれ、人の最も熱望する平和が、すべての人のうちに花開き、いつまでも支配しますように」(「地上の平和」91)で祈られた。

(編集「カトリック・あい」)

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2022年10月26日