☩「教会における性的虐待は”醜悪”、司祭を続けることはできない」ーテレビ会見で

(2022.9.6 Vatican News  Christopher Wells)

    教皇フランシスコは、現地時間5日夜放映されたCNNポルトガルとのインタビューで、聖職者による性的虐待から、”シノドスの道”の歩み、対話の重要性、世界青年の日など幅広い質問にお答えになった。

 

 

*聖職者の性的虐待には”例外なしの厳しい措置”で対応確認

 性的虐待問題について、教皇は「このことははっきりさせたいと思います。教会の男女による虐待、権威の乱用、権力の乱用と性的虐待は、醜悪です。教会の男女は、司祭であろうと、男女の修道者であろうと、男女の一般信徒であろうと、皆、奉仕し、一致し、成長するよう求められています。だが、虐待はそれを破壊してしまうからです」と言明。

 続けて、「虐待は、いつの世でも悲劇なものですが、今日も実際に起きている。そのほとんどは家庭の中で、近隣で、スポーツの場で、クラブの施設で、そして学校で起きています。教会内部で起きている虐待は、虐待全体に占める割合はわずかですが、虐待が一件でも、”醜悪”です」、教会関係者の中に、この問題を軽視したり、隠ぺいしたりする傾向がいまだに続いていることを暗に批判。

 さらに、現代社会は、虐待の現実をしっかりと認識する必要があり、例えばそれが家庭内で起きたことでも、隠ぺいすることのないようにせねばならず、「教会で起きたことは、正面から取り組む責任が、教会にある」と指摘。「司祭が性的虐待を犯したら、その人間は司祭であり続けることはできません。絶対にです」と述べ、教会が性的虐待に対して”zero tolerance(例外なく厳しい措置を取る)”で対応することを改めて強調された。

 

*来年の世界青年の日には「”教皇”が参加する」

 来年8月にポルトガルのリスボンで開催が予定されている「世界青年の日」については、「聖ヨハネ パウロ 2 世教皇が、世界中の若者を集め、彼らを強め、支援するために始められたもの」とされたうえで、「若者の創造力は、現在に根ざし、未来を見据えたもの… 自分自身を見つけ、未来に向かって進む力」であり、「世界青年の日」は、その力を養い、育てる機会になる、と期待を示された。

 そして、その催しに「教皇が参加します… ”フランシスコ”が参加するか、”ヨハネ24世”が参加するか」と語り、催しが開かれる時点で、教皇が交替している可能性を示唆しながら、「それでも、教皇は出かけます」と念を押された。

 また教皇は、若者たちに「若者文化に由来する彼らの言葉」で語りかけることが必要、とされ、「そのようにして、彼らが物事をどう解釈するのかを知り、彼らが理解できるやり方で、彼らの日々の生活の経験に従って、対応することができるのです」と指摘。

 

 

*祈るときに気が散っても、神が慰めてくださる

 ご自身がどのように祈りの生活を送っておられるか尋ねられた教皇は、「毎日、聖務日課を唱え、そしてロザリオの祈りをし、聖書をもとに黙想しています… 要するに、いろいろなやり方で祈ります」とされたうえで、 「神の前に身を置くとき、気が散ってしまうこともありますが、神は気を散らされず、私を慰めてくださいます… 誰もが、聖霊が力づけてくれるように、祈らなればなりません」と説かれた。

 そして、「聖霊が私たちに語りかけていることを、どのようにして知ることができるか」について話され、「聖霊はすべての言語で語りますが、違いの中に調和をもたらす方法を知っています…『調和』は教会の感覚であり、宗教的な感覚を持っていても聖霊の働きを欠いている人には、欠けている感覚です」と語られた。

 

 

*”シノドス”に調和をもたらすのは聖霊

 教皇はまた、来秋の世界代表司教会議(シノドス)を目指して進められている”シノドスの道”の歩みも、「聖霊によって生み出される調和が基調になっている」とされた。

 そして、「『sinodシノドス』のルーツは、『ラテン教会は(注:本来キリストの教会が持っていた) synodal(共働的な)特質を失っている』というパウロ6世教皇の現状認識にあります… 今なされている”シノドスの道”は、 synodality(共働性)についての教理を締めくくることを意図しているのです」と説かれ、「シノドスは、誰もが自分の言いたいことを言う”議会”ではありません。シノドスでは、すべての人が聖霊によってもたらされる調和を求められます。シノドスでは、人々が多様な発言をしますが、調和を生み出すのは御霊です」と強調された。

 

 

*膝の問題が再発、キエフ、モスクワ訪問可能か定かでない

 ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナ問題では、「このような事態になる前に、ロシア、ウクライナ両国の大統領がバチカンを訪問され、私はそれぞれ対話をしました… 対話は常に、進歩につながると信じています」とする一方で、「対話は、しばしば困難です」とも語られた。

 そして、かねてから希望を表明されているご自身の両国訪問については、先日のカナダ訪問の後、膝の問題が再発するなど健康上の問題があるため、「キエフ、あるいはモスクワを訪問できるか、定かではありません」とされ、それでも、「私は、自分ができることをしています。皆さんもできることをしてください… 私たちは力を合わせて、何かができる。私は、痛みと祈りをもって、状況を見守ります」とされた。

 

 

*「世界青年の日」に向けてー窓を開けて!

 このインタビューでは、ミサ典礼や教会における女性の役割、教皇の日課などについても、取り上げられたが、最後に、来年8月の「世界青年の日」に向けた開催国ポルトガルの教会へのメッセージについて問われた教皇は、次のようにお答えになった。

 「窓を見てください。そして、自分に問いかけてみてくださいー『私の人生に窓は開いていますか?』と。そうでないなら、できるだけ早く、開いてください。どんな問題があっても、”鼻を壁につけないで”ください。私たちは未来に向かって歩いていること、そのための道があることを知ってください。道を見て… 窓を開けて!”鼻”の向こう、向こうを見て!見て、窓を開いて、地平線を見据え、心を広げてください」。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年9月6日