(2021.6.17 バチカン放送)
教皇フランシスコは17日、バーチャル方式で開催中の国際労働機関(ILO)の年次総会にビデオを通しメッセージをおくられ、「皆さんの責任は重大ですが、努力によって得られる善はさらに大きい」と政治家、労働組合関係者、企業経営者たちを激励されるとともに、新型コロナウイルスの世界的大感染で打撃を受けている”労働弱者”に効果的な対策がとられるように願われた。
メッセージで教皇は、コロナ禍の中で「世界各国の社会的保護政策の不足が、貧困、失業、低賃金労働、若者の失業、児童労働、人身取引、食料供給不安などの問題を増幅させています」と指摘。各国の政府、企業経営者、労働者などが協力し合い、社会的に弱い立場にある人々、特に若者や移民、貧困者が救済策から置き去りにされることがないように希望された。
さらに、コロナの影響を受けている女性たちに目を向けられ、職場で健康の危険にさらされている女性労働者たち、保育施設の不足で子どもたちを保護者なしで家に留守番させざるを得ない、あるいは職場に伴わざるを得ない母親たちなどへの配慮を、関係自治体や施設運営者などに求められた。また、家庭内暴力、奴隷的扱い、雇用の不平等など、女性を取り巻く様々な問題に触れ、「女性の権利に対する認識」を高めるよう、改めて訴えられた。
企業経営者たちに対して労働者のケアを強く望まれたほか、多様な文化をもつ世界に視野を広げ、他国、他地域、他民族の文化を尊重し、相互の豊かさに役立てるよう呼びかけられた。
(編集「カトリック・あい」)