☩「パウロが指摘した『闘い』は歴史の中でまだ続いている」聖ペトロ・聖パウロの祭日ミサで

(2022.6.29 バチカン放送)

 カトリック教会の典礼暦は29日、教会の柱であり、ローマの保護者である二人の使徒、「聖ペトロと聖パウロ」の祭日。同日午前、教皇フランシスコは、バチカンの聖ペトロ大聖堂で、この両聖人の祭日のミサを奉げられた。

 ミサは、枢機卿会主席ジョヴァンニ・バッティスタ・レ枢機卿によって司式され、教皇が説教をなさった。

 説教で教皇は、第一朗読「使徒言行録」(12章1-11節)中の、ヘロデによって牢に繋がれたペトロに、天使が言った「急いで起き上がりなさい」(7節)という言葉、そして、第二朗読「テモテへの手紙2」(4章6-8節、17-18節)中の、パウロが自身の人生と使徒職を振り返る「闘いを立派に闘い抜いた」(7節)という言葉から、今日の教会へのメッセージを読み取られた。

 (使徒言行録には、ペトロが鎖で繋がれていた牢から天使に連れ出される場面が書かれている。主の天使は眠っていたペトロの脇腹をつついて起こし、「急いで起き上がりなさい」と言った。)

 教皇は、この場面に「復活」の意味を見出し、「天使はペトロを死の眠りから覚まし、起き上がるように、すなわち、復活し、主に導かれ、すべての閉じた門を越えて、光の方へと出ていくように、と促したのです」と語られた。

 そして、「私たちもまた、主の弟子として、キリスト教共同体として、急いで起き上がり、復活の力の中に入り、主に導かれ、主が示される道を行くよう招かれています」と説かれた。

 (また、第二朗読「テモテへの手紙2」の中で、人生を走り続け、数知れない試練、迫害、苦しみを乗り越え、自己をあまねくキリストの福音のために捧げてきたパウロは、「闘いを立派に闘い抜いた」と、自身を振り返っている。)

 教皇は「今、パウロは人生の終わりにあたって、歴史の中にまだ大きな「闘い」が続いているのを見ています。それは、まだ多くの人が自分の利害や安楽さのために、イエスを受け入れていないからです」と指摘。「パウロは、自分が人生を走り終えつつある時、テモテやキリスト教共同体の兄弟たちに、この福音宣教の使命を受け継ぐように、と促しています」とされた。

 さらに、「パウロのこの言葉は、私たちにとっても『人生の言葉』。この言葉は、私たち一人ひとりに、教会の中で弟子、宣教者としてそれぞれ貢献する使命を改めて思い起こさせます」と強調された。

 そして、「自分は、教会のために何ができるだろうか」、「より人間的で、正義と連帯にあふれ、神と兄弟に開かれた世界のために、教会として、共に何ができるだろうか」と自らに問いかけるよう、信徒たちに求め、「この世のパン種となり、いたわりの文化を推進し、弱い立場の人々に寄り添い、あらゆる形の腐敗と戦い、人々の生活に福音の喜びを輝かせること、それが私たちの闘いなのです」と説かれた。

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 なお、ミサの中で、教皇は、この一年間に任命された世界の首都大司教たち44名に託す「パリウム」を祝別された。パリウムは聖アグネスの日に祝別された子羊の毛で織った白く細長い肩掛けで、六箇所に十字が刺繍されている。これを祭服の上から肩にかけることは、迷子の羊を背負う「善き牧者」を象徴する。

 また、教皇はミサに参列した正教会のエキュメニカル総主教庁の使節に挨拶をおくられた。バチカンとエキュメニカル総主教庁は、それぞれの保護者、使徒聖ペトロ・聖パウロの祭日と聖アンデレの祭日に使節を交換している。

(編集「かとりっく・あい」=聖書の引用の日本語訳は「聖書協会・共同訳」を使用)

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2022年6月30日