☩「”シノドスの歩み”を互いに耳を傾け合う大きな機会に」ー「世界広報の日」に向けて

教皇フランシスコ、キプロスとギリシャ訪問の帰国便における記者との対話で 2021年12月6日教皇フランシスコ、キプロスとギリシャ訪問の帰国便における記者との対話で 2021年12月6日 

(2022.1.24 バチカン放送)

 教皇フランシスコは24日、2022年度の「世界広報の日」(5月22日)に向けたメッセージを発表された。24日はジャーナリストの保護者、聖フランシスコ・サレジオ司教教会博士を記念した日に当たる。

 今年の「広報の日」のテーマは、「心の耳で聴く」。昨年の「来て、見なさい」に続き、教皇はコミュニケーションの基本、真の対話の条件である「聴く」ことの重要さを示された。

 メッセージで教皇は、「私たちは目の前にいる人にだけでなく、日常生活や社会の様々な出来事に対して、耳を傾ける力を失いつつあります」と指摘。

 「心のケアで知られるある医師は、人は『誰かに聴いてもらいたい』という果てしない願望を持っている、と言っています。『耳を傾けてもらいたい』という人々の思いは、しばしば秘められたものですが、教師や、司牧者、広報・社会・政治関係者など、すべての人たちに向けられているのです」と強調された。

 さらに「神と人との対話は、神が人に話しかけ、人が耳を傾け答える、ということから始まりました。実際、『傾聴』は、神の謙遜なスタイルに合致するものです。神は人を愛し、言葉をかけ、その声を聞こうと耳を傾けますが、人は反対に、関係から逃れ、相手に背を向け、耳を塞ぐ傾向にあります」と語られ、「耳を傾けることへの拒絶は、しばしば他者に対する攻撃性さえ生みます」と述べられて、「使徒言行録」中の、人々が聖ステファノの説教に耳を塞ぎ、石を投げつける場面を思い起こされた。

 また教皇は、イエスが弟子たちに「どう聞くべきかに注意しなさい」(ルカ福音書8章18節)と、深い傾聴と洞察の重要さを教えるとともに、「立派な善い心」で御言葉を聴く人たちが、人生の実りと救いを得ることができる(同8章15節)と説いている点に注目されるとともに、聖アウグスティヌスの「耳に心を持つのではなく、心に耳を持ちなさい」という言葉や、アッシジの聖フランシスコが兄弟たちに「心の耳を傾けるように」と励ましていた例を挙げられた。

 さらに、「傾聴」とは反対のものとして、ソーシャルメディアの中にしばしば見られるような、「自分の興味のために相手を探る、利用する態度」「相手を押しのけて自分ばかりが話したがる姿勢」などを指摘され、「私たちは多くの場合、対話の中で交わりがなく、自分の意見を言いたいがために、相手が話し終わるのを待っているだけになっています。こうした態度は『対話』ではなく、二人で言い合う『独り言』です」と批判。

 「人々の間で、教会の中で、多くの声を互いに聴き合うことで、私たちは識別の力を鍛え、皆の声を調和させる方向に持っていくことができるのです。司牧活動の中で一番大切なものは、『耳の使徒職』。人に耳を傾けるために、自分の時間を無償で捧げること、これこそ最初の慈愛の態度なのです」と説かれた。

 最後に教皇は、昨年10月に始まった”シノドスの歩み”が「互いに耳を傾け合うための大きな機会」となることを願われた。

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 カトリック教会の「世界広報の日」は、様々なメディア(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・映画・インターネットなど)を通して行う福音宣教について、教会全体で考え、祈ることを目的としている。毎年、聖霊降臨の直前の日曜日(2022年度は5月29日、ただし日本の教会では復活節第6主日、5月22日)に行われる。

(編集「カトリック・あい」)

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2022年1月25日