☩「キリストは、私たちが『虚偽と偽善の墓』から出ることを望んでおられる」復活の月曜日に

教皇フランシスコ 2022年4月18日 復活の月曜日のレジーナ・チェリの祈り(2022.4.18 バチカン放送)

 教皇フランシスコは18日正午、バチカンでレジーナ・チェリの祈りを唱えられた。

  祈りの前に、この日の福音朗読箇所(マタイ福音書28章8-15節)を取り上げ、説教をされた。

  この箇所では、安息日が終わり、週の初めの日の明け方に墓を見に行った婦人たちが、天使からイエスの復活を聞き、それを弟子たちに知らせに行く途中イエスと出会う。

 教皇の説教の要約は以下のとおり。

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 「主の復活の8日間」と呼ばれる、復活後の8日間は、まるで復活祭の喜びを延長させたまとまった一日のように続きます。

 今日のミサの福音書も、墓にやって来た婦人たちへの、復活されたキリストの出現を語っています 。イエスは女性たちに挨拶し、そして2つのことを告げます。これは私たちへの復活の贈り物として役立つことです。

 まず、簡単な一言で彼女らを安心させます。「 恐れることはない」。主は、「恐れ」が私たちの日々の敵であることをよくご存じです。私たちの日常の恐れは、より大きな恐れに由来します。死への恐れ、未来への恐れ、親しい人々を失う恐れ、病気への恐れ、もう何もできなくなる恐れなどです。

 しかし、復活によって、イエスは死に打ち勝されました。ですから、イエスほどに確信を込めて「恐れることはない」と言える人は誰もいないのです。主はこの言葉を、まさしく自分が勝利者として出てきたばかりの墓のかたわらで言われました。こうしてイエスは、私たちにも「恐れの墓から出てくるように」と招いておられます。主は、何かの恐れがいつも、私たちの心に巣食っていることをよくご存じです。私たちは、復活の朝のように、毎朝「恐れることはない」という言葉を繰り返し聞く必要があるのです。

 キリストを信じる兄弟姉妹の皆さん、「恐れないでください」。イエスは言われます。「私はあなたのために死を体験した。あなたのために苦しんだ。そして、今、私は、『あなたといつも共にいる』と言うために復活したのだ」。

 では、恐れを克服するために、具体的にどうしたらよいのでしょうか。婦人たちにイエスが言った二番目のことが役立ちます。「行って、私の兄弟たちにガリラヤへ行くように言いなさい。そこで私に会うことになる」「行って、言いなさい」。「恐れ」は常に私たちを自分の中に閉じ込めてしまいます。イエスは、外に出るように、他人に向かうようにと仕向けます。これが恐れに打ち勝つ秘訣です。

 しかし、「私にはできない」とあなたは言うかもしれません。福音のあの婦人たちも、主の復活を伝えるための準備が十分にできていたわけではありません。それは主にとって重要なことではありませんでした。 主にとって大切なことは、婦人たちが自分自身から出て、人々に復活を知らせることだったのです。

 なぜなら、復活の喜びは、自分自身のためだけに取り置きするものではないからです。キリストの喜びは、与えることによってますます大きくなり、分かち合うことで増加するものだからです。もし、私たちが自分自身を大きく開き、福音をもたらすなら、心は広がり、恐れを克服するでしょう。

 また、今日の福音は、復活の知らせを妨げるものがあることも記しています。 それは、虚偽です。福音は、イエスの墓の番人たちの嘘の証言を伝えています。彼らはお金に惑わされ、「弟子たちが夜中にやって来て、我々の寝ている間に死体を盗んで行った」と言うようにとの指示を受けます。

 これは真理の告知を妨げる虚偽です。私たちに対する警告でもあります。言葉においても、生活においても、虚偽は真理の告知を毒し、腐敗させ、葬り去ります。復活されたキリストは、私たちが虚偽と偽善の墓から出ることを望んでいます。

 親愛なる兄弟姉妹の皆さん、私たちも実際あやまった情報や偽りのニュースにつまずくことがあります。一方で、私たち自身の中にも、時には虚偽があることを認めましょう。私たちのこの影の部分も、復活されたイエスの光の前に置きましょう。私たちを「福音の喜びと自由をもたらす真理の透明な光輝く証人」とするために、イエスは隠れたこともすべて光の下に置かれます(参照 ヨハネ福音書 8章32節)。

 復活されたキリストの母マリアよ、恐れに打ち勝つための助け、そして真理に対する大きな愛を与えてください。

(編集「カトリック・あい」)

 

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2022年4月19日