☩「ウクライナ侵略戦争は非人間的で、神聖な人の命を冒涜する行為だ」四旬節第三主日正午の祈りで

Pope Francis blesses a Ukrainian girl wounded in the warローマの小児病院に、負傷して避難して来た子供を祝福される教皇  (Vatican Media)

(2022.3.20 Vatican News  Devin Watkins)

 教皇フランシスコは20日、四旬節第三主日の祈りの説教の後で、ロシアによる正当性を欠いたウクライナ軍事侵略が4週目に入って激しさを増し、多くの犠牲者が出続けていることを取り上げ、攻撃の即時中止を訴えるとともに、ウクライナからの避難民の長期受け入れを強調された。

  教皇は、「[残念ながら、ウクライナに対する暴力的な攻撃は止まりません。毎日、正気の沙汰ではない大虐殺ー殺戮と残虐行為が繰り返さています。これには正当な理由はありません!」と強く非難し、「国際社会に関わりをもつすべての人に、この忌まわしい戦争を止めることを心から誓うよう願います」と世界の国々の指導者たちに呼びかけられた。

*罪のない人者が殺され続けている

 そして、教皇は特に、高齢者、子供、妊娠中の母親を含む罪のない一般市民が攻撃の対象となっていることに強く心を痛められ、「このような行為は、すべて非人道的。人の命の神聖さに反する行為です。特に尊重され、保護されるべき人の命、排除されるべきではない、いかなる戦略よりも優先すべき、自らを守る手立ての無い人の命に反する行為です!」とされたうえで、「このような行為が、非人道的で神聖な人の命を冒涜する残虐行為であることを忘れないように!」と強く訴えられた。

 教皇は、前日19日の午後、ローマ市内の Bambino Gesù小児病院を訪問され、ロシア軍の攻撃で負傷し、治療を受けているウクライナの子供たちを励まされた。「ある子は腕をなくし、ある子は頭にけがをしていました。罪のない子供たちです」とされ、「ウクライナでは今、多くの家族が戦争によってばらばらにされ、多くの子供たちや弱い人たちは、防空壕にさえ安全な場を見つけられず、爆弾の下で命を落とすままにされています」と深い悲しみを語られた。

 

*避難してくる人を温かく迎え入れ、”ハゲタカ”から守ろう

 身の安全を求めて何百万人もの人々がウクライナから脱出を続けているが、教皇は欧州の人々に、彼ら受難者に寄り添い、心から、寛大に迎え入れるよう求め、「ウクライナから避難してくる人たちを、私たちは今後数週間から数か月にわたって、温かく受け入れ、助け続けねばなりません」と強調する一方で、「私たちが良く経験するのは、初めは困った人を受け入れるために全力を尽くそうとしますが、時間がたち、慣れてくると、あまり関心を払わなくなり、忘れてしまうこと」と注意された。

 また、避難してくる人の多くは女性と子供であり、現在は夫や父から離され、収入を得るための仕事もないことを認識したうえで、彼らを保護し、支えるように、彼らを食い物にする”社会のハゲタカ”から守るように、強く求められた。

*ウクライナに留まる司教、司祭たちに感謝

 さらに、教皇は、ウクライナに留まり、信徒たちや市民を支援し、励まし続けている多くのカトリック司教と司祭に感謝され、特に、カトリック教会だけでなく、ウクライナ正教会や、イスラム教などの組織と連帯し、国内避難民への食糧の配給や、安全の確保などに努めている駐ウクライナ教皇大使のヴィスヴァルダス・クルボカス大司教の働きに深い感謝を表明された。

*ロシアとウクライナの奉献を改めて呼びかけ

 最後に教皇は、25日金曜日に予定する「マリアの汚れなき御心への人類、特にロシアとウクライナの厳粛な奉献」へ、世界のすべてのキリスト教徒が参加するよう、改めて呼びかけられ、「平和の女王であるマリアが、私たちが平和を得るのを手伝ってくれますように」と祈られた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年3月20日