☩「ウクライナの穀物を戦争の道具にしないで!」教皇、ロシアによる輸出封鎖を批判

Wheat grows on a farm in Ukraine's southern Odessa regionWheat grows on a farm in Ukraine’s southern Odessa region  (AFP or licensors)

(2022.6.1 Vatican News  Deborah Castellano Lubov)

 教皇フランシスコは1日の一般謁見で、ロシアが侵略戦争の一環として行っているウクライナからの穀物の輸出封鎖を止めるよう訴えられた。

 教皇は、講話の終わりに、ロシアが続けているウクライナ軍事侵攻に改めて目を向けられ、 「非常に懸念されているのは、ウクライナ産穀物の輸出封鎖によって、世界の人々、特に最貧国の何百万人もの人々の生活が脅かされていることです」と述べ、世界的な穀物供給の不足が軍事侵攻に関連して引き起こされていることを強く非難。

 「この問題を解決し、食糧に対する普遍的な人権を保証するあらゆる努力をすることを、心から訴えます。主食である小麦を、戦争の武器として使わないでください!」と、ロシアのプーチン大統領を念頭に、強く訴えた。

    国連は、世界的な食糧危機が迫っている、と警告している。ウクライナの港を封鎖することで世界を”人質”にしている、と欧米の指導者たちからも非難を受けているにもかかわらず、ロシアは、ウクライナの穀物輸出封鎖を、西側諸国の対ロ経済制裁解除の手段に使おうとしているのだ。

 ロシアによる一方的なウクライナ軍事侵攻が長引き、西側諸国が経済制裁を強める中で、世界の穀物、食用油、肥料、原油、天然ガスの価格が高騰。品不足も発生している。世界有数の小麦など穀物生産国であるウクライナは、道路、河川、鉄道で穀物輸出を継続しようとしているが、肝心の黒海の積み出し港をロシアが封鎖していることから、ウクライナの農業当局は穀物輸出の年間目標はすでに達成不能になっている、としている。

 ロシアがウクライナへの不正極まる軍事侵略を開始して以来、教皇は繰り返し、侵攻を中止するよう訴え、バチカン駐在のロシア大使のもとに自ら足を運び、プーチン大統領に影響力を持つロシア正教のキリル大主教にも大統領に侵攻停止を働きかけるよう求め、さらには外交ルートを通じてプーチン大統領と直接会談する場を作る試みを続けるるなど、可能な限りの努力を続けておられる。

 また、カトリック教会としても、3月25日に、ロシアとウクライナを性ペトリ大聖堂の汚れ無きマリアの御心に奉献され、さらにロザリオの月の最終日に当たる5月31日には、ローマの聖マリア大聖堂で、世界中の信徒と共に、ウクライナを始めとする世界の戦争、紛争の停止、平和の回復へ聖母マリアの執り成しを願うロザリオの祈りを捧げられている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年6月2日