☩「ウクライナで今も苦しみ続ける人たちに平和を」教皇、無原罪の聖マリア日に祈られる

(2022.12.8 バチカン放送)

 「無原罪の聖マリア」の祭日の8日、教皇フランシスコは聖母に捧げる様々な行事をとり行われ、ローマ市内スペイン広場の聖母のモニュメントの前で祈りを捧げられた。

 「無原罪の聖マリア」の祭日は、聖母マリアが「その母の体内にやどった瞬間において、全能の神の特別な恩恵と特典によって、人類の救い主キリストの功績を考慮に入れ、原罪のすべての汚れから前もって守られた」ことを祝うもの。

 この日、教皇は、正午にバチカンの広場の巡礼者と共に「お告げの祈り」を唱えられた後ーローマ市内の聖マリア大聖堂(サンタ・マリア・マッジョーレ)を訪問され、聖母子画「サルス・ポプリ・ロマーニ(ローマ人の救い)」を掲げた礼拝堂で祈りの時を持たれた。

 最後に、教皇はローマの繁華街、スペイン広場を訪問。聖母に捧げたモニュメントの前で献花と祈りを行われた。教皇がこの記念碑においでになるのは毎年恒例だが、コロナ禍の一昨年と昨年は、教皇は夜明け前に訪問され、会衆のいない広場で祈らていた。教皇が人々と共に祈られるのは2年ぶりとなった今回は、広場周辺が大勢の市民であふれた。

 スペイン広場とつながるミニャネッリ広場には、ブロンズ製の聖母像を頂点に据えた大理石柱がそびえている。このモニュメントは、1854年12月8日に教皇ピオ9世により無原罪の御宿りが正式に信仰箇条として宣言されてから、3年後の1857年に建立された。この朝、柱の頂上の聖母像の腕にローマ市の消防団によって花輪がかけられ、市民や団体もこれに続いて、記念碑の下は花でいっぱいになった。

 教皇は、記念碑の下で、白い薔薇を盛った大きな花籠を祝別。バチカン職員の手を通して献花をされ、参加者全員による聖母の連祷の後、教皇による祈りが行われた.

 この中で教皇は「無原罪の御母」に、「このたくさんの花によって表されたローマ市民の『愛と崇敬』とともに、多くの人々の隠れた沈黙の祈りによる『見えない花』も受け取ってくださるように」と願われた。そして、「たちこめる暗い霧の中の希望と慰めのしるし」である聖母に、子どもたちや、お年寄り、若い夫婦ら、家族たちの日々の喜びと苦しみ、また、特に青少年らの夢と不安、成長と未来を、その保護に託された。

 さらに、「無原罪のおとめよ、長い間、平和を主に祈ってきたウクライナの人々の感謝を、今日ここでお伝えするはずでした」と聖母に語りかけた後、涙とともににしばし絶句され、 「それでも、ウクライナで今も苦しみ続けている子どもたち、高齢者、親たち、若者らの懇願を、あなたに差し出さねばなりません… あなたが十字架の下で御子のそばに留まられたように、あなたが彼らと、苦しむすべての人々と、共におられることを知っています」と訴えかけられた。

 教皇は「無原罪のあなたを見つめる私たちが、愛が憎しみを超え、真理が欺瞞に勝利し、赦しが侮辱にまさり、平和が戦争に打ち勝つと、信じ、希望し続けることができますように」と祈願され、集いの終わりに、教皇は人々に祝福をおくられた。

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2022年12月9日