◎教皇連続講話「識別について」①「神のもとで豊かな人生を送るために、識別する力が欠かせない」

(2022.8.31 Vatican News  Devin Watkins)

    教皇フランシスコは31日の水曜恒例一般謁見で、「識別について」と題する新たな連続講話を始められた。そして、「人生で何が最善かを選ぶには、神との深いつながりが必要です」と述べられた。

 連続講話の初めに教皇は、「『識別する』とはどういうことでしょうか」と会衆に問いかけられ、「識別する力は、豊かな人生を送るために、誰もが身につけねばなりません」と指摘。「私たちは、人生で、何を食べるか、何を着るか、何を学習ぶか、何を仕事にするか、どのような人間関係をもつか、などを選択していきます… そして、これらの選択によって、人生の計画が実現し、神との関係も実現するのです」と説かれた。

 そして、「イエスがしばしばなさったのは、良い魚や最高の真珠を選ぶときに、あるいは宝物を見つけたときに、何をすべきかなど、日々の暮らしの身近な例を取り上げて、識別について語ることでした」とされ、「識別する力は、好機をつかむための知性、技能、そして意志の行使として現れます。それらは、良い選択をするための条件です」と言明。

 また、「一連の選択肢の中から最良のものを選ぶことには、私たちの感情も関係していいる。よくできた選択は私たちに大きな喜びをもたらすからです」と付け加えられた。

 教皇はさらに、イエスが識別力を説明する際に日々の暮らしの身近な例を使われたのは、「神の王国が暮らしにおける通常の振る舞いの中に明示され、私たちに毅然とした態度をとることを求めるからです….‎ だからこそ、識別する能力が非常に重要なのです。そして、素晴らしい選択は、一見、大したことのないように見える、決定的な状況からなされることがあります」と語られた。‎

 続けて教皇は、「識別には、知識、経験、感情、意志など、いくつかの要素が欠かせません。そして、識別には大変な努力が必要です。聖書によれば、私たちの人生はあらかじめ決まってはいない。神は私たちの意思を尊重され、自分で選ぶように促しておられます。神は私たちを自由な存在として創造され、自由を行使することを望まれます。だから、識別力が求められるのです」と強調。

 そして、「私たちのほとんどに、良い選択だと思ったことが、後になって、間違っていたことに気が付いた経験があります… そして、真の善が何かを知っていても、選択しなかったことも多い」とされ、(そのようなことのないように)神は、聖書の最初のページでアダムに、幸せになるための具体的な識別について次のように教えています」と語られた。

 「もしあなたが生きたいなら、幸せな人生を送りたいなら、自分が被造物であり、自分が善悪の基準ではないこと、そして自分が下す選択は、自分に、他の人に、そして世界に、結果について責任を取らねばならないことを忘れはならない(創世記2章16‐17節参照)」と。

 教皇は、識別する力は「私たちが生きていくために欠かすことのできないものであり、その力によって、『今ここで、自分にとって何が良いことか」を知る必要がある、とも指摘され、「(識別には)何よりも神と私たちの”親子の関係”が求められます。神は父であり、私たちを(誤った識別をするのを)放っておくことはない。いつでも私たちに喜んで助言し、励まし、歓迎してくださいます。ただし、神はご自身の意思を私たちに押し付けることは、決してなさいません」と強調された。

 講話の最後に、教皇は、「神は私たちがご自分を恐れるのではなく、愛することを望んでおられること」を改めて思い起こされ、「愛は自由の中でのみ、生きることができる… 生きることを学ぶには、愛することを学ばなければならず、そのためには識別が必要です」と念を押された。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年9月1日