◎教皇連続講話「老年の意味と価値について」⑦「各世代を結びつける絆が、家族と社会を豊かにする」

(2022.4.27 Vatican News  staff reporter)

     教皇フランシスコは27日の水曜恒例一般謁見で、「老年の意味と価値について」の講話を続けられ、今回は、教皇が「聖書の中の宝石」と呼ぶ、旧約聖書「ルツ記」に描かれている未亡人、ナオミを巡る物語を取り上げ、「この物語は、家族の絆の美しさに光を当てます。私たちにとっても、各世代を結びつける絆が、家族と社会を豊かにします」と語られた。

 教皇はこの物語の中で、まず、夫と死に分かれ、年老いたナオミと、亡くなった息子たちのルツなど二人の嫁の間で交わされる愛と助け合いについて注目された。

 飢饉が起きベツレヘムからモアブの野に移り住んでいたナオミは、夫と二人の息子に先立たれる。息子たちの二人の嫁と一緒にユダの地に戻る前に、ナオミは、自分は一人になってもいいから、嫁たちに自分の母親の家に帰るように勧めた。だが二人は「私たちはあなたと一緒に、あなたの民のところに帰ります」と泣いて訴える。そして、二人のうちのオルパは帰って行ったが、ルツは「あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です」あなたが死なれる所で私は死に、そこに葬られないのです」と言って、ナオミと一緒にベツレヘムに行った。

 教皇は、ナオミが2人の嫁に、自分は一人になってもいいから、自分の家に戻りなさい、と言ったのは「愛の行為です。そして、どうしても一緒に行く、と答えたルツの言葉に感動したナオミは一緒にベツレヘムに帰り、ルツの新しい未来のために助けるのです」と指摘。

 ルツがナオミを助け、ナオミは彼女が新たな夫ボアズに嫁ぐのを助け、新たな人生を始め、後にダビデの父となるエッサイの父、オベドの誕生につながっていくが、「老後のナオミは、新たな世代に参加することの喜びを知ったことでしょう」と語られた。

 そして、「この年配の女性の回心に伴う”奇跡”の数を見てください。彼女は、夫や息子たちを失うことで傷つきましたが、打ち捨てられる危険にさらされている後の世代の未来のために、愛を込めて、自分自身を捧げよう、という決意に変っていくのです」とされた。

 さらに教皇は「”義理”の母は難しい、とされることがよくあります」とされたうえで、「だが、彼女は母親であり、”美しい存在”の祖母になることもできるのです」と説かれ、一般謁見に参加していると思われる”義理の母と家族”に、互いに最善を尽くすよう促された。

 また「このナオミとルツの物語は、神の摂理において、信仰と愛が困難な問題を克服することを可能にすることを示しています」とし、「各世代を結びつけるこれらの絆は、歳や性別に関係なく、私たちの家族とその構成員の尊厳と受けた恵みを尊重する社会の豊かな成長を可能にするのです」と説かれた。

 講話の最後に、教皇は「若者が、受け継いだものに感謝し、年配者が率先して未来を切り開こうとするなら、人々の間で神の賜物がさかんになるのを、いかなる者も、それを止めることは出来ません」と強調したうえで、若者たちが祖父母や年長者と会話をし、年配者も若者たちと会話するように勧められた。そして、「これは歳を越えた人々の調和を促し、私たちが守り、見守らなければならない”素晴らしい橋”を架けることにつながっていきます」と締めくくられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年4月27日