◎教皇連続講話「使徒的熱意について」⑭韓国の聖人キム・テゴンは”使徒的熱意の体現者”

Pope Francis holds his weekly General AudiencePope Francis holds his weekly General Audience  (REMO CASILLI)

(2023.5.24 Vatican News  Deborah Castellano Lubov)

    教皇フランシスコは24日の水曜恒例の一般謁見で「使徒的熱意について」の連続講話を続けられ、この日は「使徒的熱意を体現した聖アンデレ・キム・テゴンを取り上げ、「迫害と数多くの困難にもかかわらず、同胞に神の愛を示し続けた韓国人初の司祭… 生涯を通して、福音宣教の熱意を雄弁に証ししました」と讃えられた。

 講話で教皇は、「約200年前、朝鮮の地はキリスト教信仰に対する非常に厳しい迫害が行われていました。 イエス・キリストを信じるということは、死に至るまで証しをする覚悟を持つことを意味していました」とされた。

 そして、この聖人が、そうした「激しい迫害」の時代に、官憲による逮捕を恐れて身元を隠し、散り散りになった信徒たちを、勇気を持って探し出し続けたこと、またそのような信徒が現代にいたる信仰を伝える鍵となったこと-を思い起され、「国全体にイエスの愛を知らせるには、信徒の信仰が不可欠だったのです」と指摘された。

 教皇は、キリストに従い、民に奉仕する粘り強さが彼にとって殉教に至る道であったことを指摘し、キム・テゴンはまさに、「キリストの弟子であり… 主の弟子であるということは、主に従い、主の道に従うことを意味します。それには福音宣教のために命を捧げることも含まれます」とされた。

 また教皇は、キム・テゴンの一生を回想された。彼が若い神学生だった時、密かに入国してくる外国人宣教師を官憲に見つからないように受け入れるのに苦労した。教皇は、「当時の政権は外国人の入国を厳禁しており、容易なことではなかったのです」と言われた。また司祭になった後、冬の長い宣教の旅の途中で、疲れ果てて雪の降り積もった地面に倒れ、命落としそうになった。すると「突然、『立ち上がって歩き続けなさい!』という声を聞き、『自分は決して一人ではない、主は決して自分を見捨てられない』ということに気付いた」という。

  キム・テゴンのこの経験は、「使徒の熱意の重要な側面、つまり、倒れたときに立ち上がる勇気を、私たちに教えています… 聖ペトロも、罪に陥り、キリストを三度否定したにもかかわらず、キリストの死と復活を経て立ち治りました。私たちはいつでも立ち上がることができる。なぜなら、主イエスは決して私たちを見捨てず、いつも近くにいて、励まし、手を取って下さるから。主はいつも私たちに『起きなさい、起きなさい』と繰り返して呼び掛けてくださるのです」と強調。「そもそも、イエスご自身が死からよみがえられたお方なのです」と説かれた。

 講話の最後に教皇は「主の復活は、まさに神秘であり、その中に、私たちがあらゆる転落から立ち上がる可能性が含まれています。そして、それは、私たちが前に進むことを可能にする力の源です」とされ、聖人の模範によって力を得られるように… 落胆せず、福音宣教がもたらす素晴らしさを奪われないように、イエス・キリストが与えてくださる力で前進しましょう」と、聖ペトロ広場に集まった信徒たちに呼び掛けられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

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2023年5月24日