(2019.5.2 VaticanNews Robin Gomes)
*”イデオロギー的植民地化”を回避し、多国間主義の推進を
国民国家について、教皇は、それを絶対的なもの、周囲と自国の関係で”(注:孤立した)ひとつの島”、と考えることはできず、国民に共通善を提供できず、気候変動、新たな奴隷制度、そして平和の実現という現代の世界的問題に対応できない、とし、各国民の間に協力のビジョンを打ち立てるには、新民族主義の鼓舞と覇権主義的政策に反対する「多国間主義」を促進する必要がある、と指摘された。
「人類はそのようにして、超大国が引き起こす経済的な危機とイデオロギー的な植民地化を回避し、強者が弱者を圧倒するのを防ぎ、地方、国、地域の次元での視野を失うことなく、地球的な次元に注意を払うのと同じように、対立が国民国家の間に生じた時、武力紛争に発展する危険を回避するのです」と語られた。
また教皇は、現在、かつてみられた核廃棄に努める季節が過ぎ去り、核保有国の政治的な良心がもはや鼓舞されなくなっていることを嘆かれ、「それに代わって、核紛争が懸念される季節が幕を開けつつあるように見えます。最近まで進んでいた前向きな取り組みが破棄され、戦争の危険が増大しています」とし、さらに、攻撃目的、防御目的の核兵器が地球上と宇宙に配備されようになれば、いわゆる「新たな技術的フロンティア」は、“核のホロコースト(大量虐殺)”の危険を高めこそすれ、低めることはなくなる、と強く警告した。