(2020.2.23 バチカン放送)
地中海地域の司教たちの集い(「地中海、平和の前線」)出席のため、イタリア南部のバーリを訪れていた教皇フランシスコは23日、同市内でミサを司式された。
湾岸部と中心街を結ぶ大通りと県庁前広場を会場に行われたミサには、約4万人の市民が参加。教皇は専用車「パパモービル」から沿道の人々に祝福をおくられた。
ミサの説教で教皇は、この日の福音朗読箇所であるマタイ福音書(5章38-48節)の「敵を愛しなさい」というイエスの教えを観想された。
(イエスは「目には目を、歯には歯を」(出エジプト記21章24節)と命じる古い掟に触れながら、「しかし、私は言っておく。悪人に手向かってはならない。誰かがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい」(マタイ5章39節)と説いている。)
この箇所について教皇は、「『いったい、どういうことだ。誰かが自分にひどいことをしたなら、同じ目に合わせてはいけないのか』と人は考えるでしょう。それでも、イエスは『暴力はいけない。一切の暴力はいけない』と言っておられるのです」とされた。
また、イエスは「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい」(44節)と言われるが、「なぜ、敵を愛するように命じるのでしょう… イエスの答えは、『父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださるから』(同45節)です。神から愛された私たちは、愛するようにと招かれています。赦された者から、赦す者に、愛に触れられた者から、愛を与える者に、無償で救われた者から、無償で善を行う者になるようにと招かれているのです」と説かれ、「キリストの弟子になりたいなら、これがその道であり、他の道はありません」と強調された。
さらに、「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈る」のは、「キリスト教の新しさ、キリスト教が持つ違いです」とされ、「自分を愛してくれる人や、友人、同じ民族だけでなく、そうでない人々も愛すること。なぜならイエスの愛には壁も限界もなく、主は計算なく愛するように、と私たちを招いておられるからです」と語られた。
そして、こうした目標は「人間には不可能に思われますが、神に対して、愛することの恵み、赦すことの教えを願うことが大切。『私一人ではできません。あなたの力が必要です」と神に祈ることが重要です」と説かれ、「それが犠牲を伴うことでも、世の流れに反することであっても、今日、愛することを選びましょう。イエスの愛の挑戦を受け入れましょう。そうすれば、私たちは真のキリスト者となり、世界はより人間性に満ちたものになるに違いありません」と訴えられた。
(編集「カトリック・あい」)