Displaced children from DRC, Rwanda, Burundi and other nations attend a makeshift school in a tent in a settlement for refugees in South Africa (AFP or licensors)
(2020. 12.16 Vatican News Vatican News staff writer )
教皇フランシスコは16日、「 Mission 4.7 」と「 Global Pact for Education」の二つの国際団体によるプロジェクトの開始に当たって開かれたバチカン青年シンポジウムにビデオメッセージを送り、「教育は常に、現在から未来を見据える希望の行為です」と激励された。
「 Mission 4.7 」は、国連が決めたSDGs(持続可能な開発目標)の中の4.7項*を目標とする団体で、政府、学界、市民社会、企業のリーダーを集め、世界中の持続可能な開発のための教育の実施を加速することを狙いとしている。
*2030年までに、すべての学習者が、とりわけ持続可能な開発のための教育と、持続可能なライフスタイル、人権、ジェンダー平等、平和と非暴力文化の推進、グローバル・シチズンシップ(=地球市民の精神)、文化多様性の尊重、持続可能な開発に文化が貢献することの価値認識、などの教育を通して、持続可能な開発を促進するために必要な知識とスキルを確実に習得できるようにする。
*新型コロナによる危機は、教育の分野にも
今回のシンポジウムは、16,17日の両日、インターネットを通じたバーチャル形式で行われ、現在の「無関心のグローバリゼーション」と「浪費の文化」と克服する、新たな形の教育の推進に焦点があてられた。
教皇はメッセージで、まず現在の新形コロナウイルスの世界的大感染を取り上げ、「2020年はコロナ大感染による非常な苦しみの年」であり、多くの人々に強制的な隔離と排除、精神的な苦痛、そして多くの死を引き起こし、子供たちの教育にとっても「前例のない危機をもたらしています」と述べ、具体的に、「10億人以上の子供たちが教育の混乱に直面しています。何億人もの子供たちが社会的および認知的発達の機会に取り残されています。そして多くの場所で、生物学的、心理的、経済的危機は、それに伴う政治的および社会的危機によって、さらに悪化しています」と語った。
そのうえで、シンポジウムの参加者たちに、「憎悪、分裂、無知の衝動」ー「社会正義と相互愛に基づく教育機会の新しい波」で克服可能な現実ーに立ち向かう希望の行動を共にするために集まってくれたこと、とりわけ、「人間の超越、統合的で持続可能な人間開発、異文化間と宗教間の対話、地球の保全、平和と神に開かれる集まり」を推進する新たな教育への希望と計画の共有を育てるために、集まってくれたことに、感謝された。
*国連の役割と責任
教皇は、国連の役割とこれまでの貢献について言及。世界の各国政府と市民社会が新しい形の教育に一致して取り組もうとする機会を提供している、と述べ、聖パウロ6世教皇が1965年に国連を讃えるメッセージを引用し、「紳士の皆さん、あなた方は偉大な仕事を成し遂げ、そして今、それを成し遂げる道におられる。人々に平和を教えている。国連は、人々が教育を受ける偉大な学校です」とされた。
また、第二次世界大戦の終わり、1945年に国連会議で採択されたUNESCO (国際連合教育科学文化機関 )憲章を取り上げ、その前文で「戦争は人の心の中で始まる。平和の防壁を構築することも、心の中にある」としていること、そして、ユネスコの創設者たちは「すべての人に、客観的な真実の限りない追求と考えと知識の自由な交換において、完全かつ平等な教育の機会が与えられ、互いについて、もっと深く理解し、互いの生活についてもっと真実に近い、もっと完全な知識をもてるように」と呼びかけたこと、を指摘した。
そして、こうした地球的な教育の約束が崩壊した今の時代に、2015年9月に開かれた「国連・ 持続 続可能な開発サミット 」で「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、新たな持続可能な開発目標(SDGs) が設定されたことで、地球的な教育への取り組みが改めてされるようになったことを高く評価するとともに、 「SDGsの 中心にあるのは、すべての人のための質の高い教育は、”私たちの共通の家”を守り、人々の間で友愛を育むために必要な基盤であるという認識です」と強調された。
*「お年寄りを忘れないで」
メッセージの最後に教皇は、「 Global Compact for Education」と「 Mission 4.7」という二つの組織の協力を支持し、愛と美、そして一致の文化のために共に働くことに期待を表明された。さらに、「一番決定的な人間的価値観の保有者であるお年寄り、そして祖父母を忘れることのないように」と注文を加えられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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