♰「コロナ危機を『出会い』『いたわり』『助け』の機会に」-10月の「世界宣教の日」に向けて

教皇フランシスコ モザンビークの病院で 2019年9月教皇フランシスコ モザンビークの病院で 2019年9月  (Vatican Media)

(2021.1.29 バチカン放送)

 教皇フランシスコが29日、今年10月24日の「世界宣教の日」に向けたメッセージを発表された。

 カトリック教会の「世界宣教の日」は、全世界に福音をもたらすために、すべての人の宣教心を励まし、宣教地への霊的・物的支援や、宣教者や教会間の交わりを促進することを目的とするもの。10月の最後から2番目の主日に記念されている。

 2021年度「世界宣教の日」のテーマは、「私たちは、見たことや聞いたことを、話さないではいられないのです」(使徒言行録4章20節)。

 教皇はこのメッセージで、神の愛の力を体験する時、生活の中で御父の存在を認める時、「私たちは、見たことや聞いたことを、話さないではいられない」と強調。

 「イエスの弟子たちとの関係、イエスの受肉の神秘において啓示されるその人間性、その福音、死と復活は、神がいかに人類を愛し、私たちの喜びや悲しみ、望みや苦悩をご自分のものとしているかを表しています」と説かれている。

 福音宣教の歴史は、友情の対話を築くためにすべての人を呼ばれる主を、情熱的に探求することから始まる。教皇は、「イエスは、主との友情の中で、病者を癒やし、罪人たちと食事し、空腹の人々を満たし、疎外された人に近づき、律法では清くない、とされた人々に触れ、貧しい人々に寄り添い、人々を幸いへと招き、新しい権威ある方法で教えられました。使徒たちはそれを見て、驚きと喜びを抑えることができなかったことでしょう」とされ、「このような体験が、イエスの生き生きとした存在を、心の中に炎のように持ち続けさせ、犠牲や無理解を受ける恐れをも超えて、私たちを宣教へと駆り立てるのです」とされた。

 そして、「現在のコロナ危機は、多くの人々の苦しみや、孤独、貧困、不正義を増大させ、自分たちのいつわりの安定や、分裂した状態を明るみに出しながら、私たちに失望をもたらしています」とされ、「それゆえに、今、私たちの共同体や、家庭、心の中で、『(イエスは)ここにはおられない。復活なさったのだ』(ルカ福音書24章6節)という希望の言葉を聞く必要があります」と説かれている。

 さらに、教皇は、このコロナ感染の今、「ソーシャルディスタンス」の名のもとに自分たちの無関心や無気力をごまかすのではなく、「必要とされる感染防御さえも、「出会い」と「いたわり」「助け」の機会に変える「慈しみのミッション」に取り組むことが急務、と強調。

 また、「『教会は福音宣教のために存在する』という聖パウロ6世の言葉(使徒的勧告「福音宣教」14項)にあるように、宣教は常に教会のアイデンティティーとなってきました… 自分自身や小さなグループの中に閉じこもることは、信仰を弱め、驚き、感謝する力を弱めてしまいます」と警告され、「すべての人を訪れ、抱擁するために、常に外に向けて開くことが必要」と念を押された。そして、「このコロナ危機の中で、共同体の輪を広げ、近くにいながらも『自分たちの世界とは関係ない』と思っていた人々とも積極的に出会い、これらの人々が『私たちの兄弟姉妹だ』ということに気づくように努めましょう」と全ての信徒に呼びかけられた。

(編集「カトリック・あい」)

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2021年1月30日