(2020.10.7 Vatican News)
教皇フランシスコは7日、水曜恒例の一般謁見で、新型コロナウイルスの大感染で傷ついた「世界を癒す」というテーマで続けられた先週までに続いて、同日は「私たちにはエリヤの精神が必要」というテーマで講話をされた。
*エリヤは最も説得力のある人物の1人
教皇は、まず、預言者エリヤを「聖書全体を通して、最も説得力のある人物の一人… 彼の時代の範囲を超越しています」とし、新約聖書に描かれたキリストの変容の場面(マタイ福音書17章3節)で、エリヤがモーセと共に、イエスの前にどのように現れたかを想起され、「エリヤは神秘的な仕方で突然、現れます」と語られた。
そして、エリヤは「正確な出自がなく、終わりもなく、天国に連れて行かれた人です。このために、メシアの到来前に彼が帰還すると期待されていました」とし、「聖書は、エリヤを結晶のように澄んだ信仰の人として描いているのです」と述べ、「エリヤは、誘惑と苦痛を知っているが、自分たちに課せられた理想にかなうことに失敗しなかった、という意味で、信仰を持つ全ての人の模範です」と強調。
*エリヤの祈りの生活
さらに教皇は、エリヤの祈りの生活に焦点を当て、「大成功の瞬間だけでなく、逆境と迫害に直面しても、祈りと熟考がエリヤを支えました」としたうえで、今日の世界における「エリヤの精神」の必要性を強調。予定していた原稿を離れて、「エリアの責任感と勇気をもって、人々の前にしっかりと立つ信仰者、熱意溢れるキリスト教徒が、どれほど必要とされているでしょう-そんなことはできない、と言われるかもしれません」、そして「エリヤは神の人であり、至高な方の首位を守る者として立ちますが、彼もまた、自分の弱さを受け入れることを余儀なくされています」と語られた。
*エリヤの知恵
また、教皇は、「エリヤは、祈る人々の生活に”二分法”があってはならないことを示しています」とされ、「人は主の前に立ち、主が私たちを送ってくださる兄弟姉妹の方へ向かいます。祈りの証明は、隣人への真の愛です… エリヤは私たちに教えていますー熱心な祈りと神との一致は、他の人たちが必要としていることへの配慮と切り離せない、ということを」と説かれた。
さらに、準備した原稿から離れ、祈りは「神と向き合うこと、そして自分自身を兄弟姉妹に仕えるために送られるようにすること」と語られ、「エリヤは祈りの中に、主の意志を識別して成長し、個人的に多くの負担をしても不正を断罪する勇気を見出しました」と指摘。エリヤの祈りの中での神の経験は、主が「風と火の中」ではなく、「静かなささやきの中」で彼に現れた時、最高潮に達した、と語られた。
*エリヤの物語は、私たち皆のために書かれた…
最後に教皇は「これはエリヤの物語ですが、私たち皆のために書かれたように思われます」と述べられ、次のように締めくくられた。「私たちは、時として、自分が役に立たず、孤独を感じることがあります。祈りが来て、私たちの心の扉をノックするのは、それからです… 何か間違ったことをしたり、脅迫や恐怖を感じたりしても、祈りの中で神の前に立ち戻ると、奇跡が起きたように、平穏と平和が戻って来るでしょう」。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)