
(2025.5.14 Vatican News Christopher Wells)
教皇レオ14世は14日、東方教会の聖年祭を迎えている東方典礼カトリック信者たちを招かれ、彼らの伝統を守り、真の平和のために祈ることの必要性を強調された。
教皇は、伝統的な復活祭のあいさつ―「キリストはよみがえられました!キリストは本当に復活されたのです」—で歓迎。ローマ・カトリック教会と完全な交わりを結んでいる23の東方教会の信者たちに向かって、教皇は 「あなたがたは神の目から見て尊い存在です 」と述べ、教皇就任後最初の出会いのひとつを東方信者に捧げることができた喜びを表された。
そして、「あなた方を見ていると、あなた方の出自の多様性、栄光の歴史、そしてあなた方の共同体の多くが耐えてきた、あるいは耐え続けている苦い苦しみを思う 」とされたうえで、東方典礼のカトリック諸教会は 「彼らが保存している独自の霊的・聖体的伝統のために、また、キリスト教生活、会堂、典礼について彼らが私たちに語るべきすべてのことのために、大切にされ、尊重されるべきだ 」という故教皇フランシスコの言葉を再確認された。
また教皇は、レオ13世や聖ヨハネ・パウロ2世を含む歴代教皇の教えを想起され、東方典礼カトリック教会の伝統、特に典礼の重要性を強調。「東方の兄弟姉妹の多く」が故郷から追放され、「生まれ育った土地だけでなく、宗教的アイデンティティをも失う危険性がある」ことへの懸念を表明されたうえで、東方祭儀を保存することの重要性を強調。ディアスポラの状態にある東方典礼カトリック信者を支援し、彼らの遺産を保存するのを助けるために、東方典礼カトリック教会総主事庁が「原則、規範、ガイドラインを定めるのを助けるよう」求められた。
*教会は東方を必要としている
そして教皇は「教会はあなた方を必要としています… 東方典礼カトリック教会が今日、私たちに提供できる貢献は計り知れません」と述べ、東方の典礼に表現されている神秘の感覚を回復する必要性、神の優越性と神秘学の感覚を再発見することの重要性、そして 「自分の罪と全人類の罪のための苦行、断食、涙 」の必要性を指摘され。
さらに「伝統を減衰させることなく守ることが肝要です」とされ、「人間の不幸のドラマと神の慈悲への驚き 」を結びつける東方の霊性の伝統の 「薬 」としての価値を強調。「暴力の深淵の中でさえ、希望の歌を歌うことができるのは、あなたたち以外にありません」と語られた。
教皇フランシスコが東方典礼カトリック教会を 「殉教者の教会 」と認めたことを取り上げ、教皇は、聖地、ウクライナ、中東、ティグライ、コーカサスなど多様な地域を苦しめ続けている暴力を嘆され、「軍事的征服の名の下に人命が犠牲になっていることで、憤激を引き起こすべきこの恐怖、多くの若者の虐殺から立ち上がり、平和を求める訴えが響いています… 教皇というよりも、キリストご自身が『平和があなた方とともにあるように』と繰り返しておられるのです… この平和は和解であり、赦しであり、ページをめくって新たに出発する勇気です」と訴えられた。
*平和への献身
教皇は、「平和が優勢となるよう、あらゆる努力をする 」との決意を力強く表明し、「敵同士が顔を合わせ、対話し、希望を見いだし、平和の尊厳を……回復できるよう」、可能な限りのことをする聖座の意志を再確認された。
そのうえで、世界の人々とその指導者たちに直接訴えかけ、心からの訴えを行った— 「会おう、話し合おう、交渉しよう」。そして、「戦争は決して避けられないものではありません 」とされ、武器の使用は「問題を解決するのではなく、問題を増大させるだけです」として、”武器の沈黙”を呼びかけられた。
教皇はさらに、「平和の種をまいているべての人々」に感謝するとともに、「とりわけ中東で、故郷を捨てようとする誘惑に耐えながら、忍耐強く故郷にとどまっている 」キリスト教徒たちにも。7感謝の意を表され、東方典礼カトリック教徒が 「言葉だけでなく、安全な生存に必要なすべての権利をもって祖国にとどまる機会を与えられる 」必要性を確認された。
続けて、「正義の子イエスが、東方の地で夜明けを迎えられたこと」を改めて思い起こされ、「東方典礼カトリック教徒が世の光」であることに感謝し、「信仰と希望と慈愛のために傑出した存在であること、それ以外の何ものでもないこと」を指摘された。
そして、東方教会の司牧者たちに対して、彼らの共同体が 「友愛と共同責任の場 」となるように、「誠実さを持った共同体 」を推進するよう呼びかけられ、最後に、「今日、東方典礼カトリック教会の素晴らしさが、従順と福音的な証しにおいて忠実であり続けるために、あらゆる世俗的な執着からの自由と、交わりに反するあらゆる傾向からの自由を求めているのです 」と結ばれた。
(翻訳・編集「カトリックあい」南條俊二)