
(2023.1.29 Vatican News Devin Watkins)
教皇フランシスコは29日、年間第4主日の正午の祈りの説教で、この日のミサで読まれた福音ー山上の説教の「八つの幸い」(マタイ福音書5章1‐12節)を取り上げ、その最初にある「poor in spirit(霊において貧しい人)」ためには、すべてを神の賜物として進んで受け入れ、(現代社会にはびこっている)”使い捨ての文化”に抗するように努めねばなりません」と説かれた。
説教で教皇はまず、「”霊において貧しい人”とは、自分自身に頼ることはできない、あるいは自分ですべてをまかなう状態を維持することはできない、ということを認識している人のことです」と指摘。「そういう人は、神の前で“物乞い”として生活しています。神が必要だと感じ、神から与えられる善きものを賜物、恩寵として認識しています」と説かれた。
*神の賜物の一つ一つを大切にする
そして、霊において貧しい人も「受け取ったものを大切」にし、「贈り物を無駄にしてはならないこと」を知っていると指摘。
続いて、このイエスの教えの現実について詳しく考察された。教えは、人や物の価値を理解しない私たちの消費主義社会の多くと衝突する。教皇は、イエスがパンと魚の奇跡で人々の空腹を癒した後、「何も無駄にしないように、残ったバンや魚を集めるように求めた」ことを例に挙げたうえで、世界の中で豊かな社会を支配する”使い捨ての文化”と戦うための課題として、 3 つを示された。
*「”私たち”という贈り物」を無駄にしない
課題の第一は、「『”私たち”という贈り物』を無駄にしない」こと。
教皇は「すべての男女は才能だけでなく尊厳にも恵まれており、私たち一人一人が贈り物を持つ良い、独立した存在」とされ、「イエスは、私たちが”幸い”なのは、私たちが持っているものによるのでなく、私たちが存在することによるのだ、ということを、気付かせてくださいます。 つまり、本当の”貧しさ”とは、自分をぞんざいにし、自分自身を荒廃させることなのです」と説かれた。
*「私たちが持っている贈り物」を無駄にしない
第二の課題は、「『私たちが持っている贈り物』を無駄にしない」ことだ。
教皇は、世界中で多くの人が飢えで亡くなっているにもかかわらず、食糧生産の 3 分の 1 以上が無駄にされていることを嘆かれ、「誰もが必要とする物を欠くことがないように管理され、共有されねばなりません。私たちが持っているものを無駄にするのではなく、”正義と慈善のエコロジー”を広めましょう!」と呼びかけられた。
*人を粗末に扱わない
そして課題の第三は、「人を粗末に扱わない」こと。
「”使い捨ての文化”は、利用できる限り人を利用し、利用できない人は”社会の迷惑”として片づけるもの。このような利己的な考え方の影響を最も強く受けているのは、胎児、高齢者、貧しい人々、そして恵まれない人たちです」とされた教皇はこう訴えられた。
「人は絶対に”放り出され”てはなりません。絶対にです! 年齢や心身の状態に関係なく、すべての人は、神聖で、それぞれに個性を持った贈り物です。いつも人の生命を尊重し、高めて行きましょう!」