(203.11.26 Vatican News Christopher Wells)
教皇フランシスコは「王であるキリスト」の祝日の26日の正午の祈りで、90年前に旧ソ連下にあったウクライナで数百万人が死亡した大飢饉(ききん)「ホロドモール」を記念したウクライナの人々のために祈られ、また、イスラエルとパレスチナの戦闘が一時休止し、人質の一部が解放されたことを神に感謝された。
またこの日が「世界青年の日」に当たることから、若者たちに、「あなたがたは世界の現在と未来です。教会活動で『喜びにあふれた主役』となるように」と励まされた。
この日、教皇は軽いインフルエンザの症状のため、住まいのサンタ・マルタ館から中継で正午の祈りを行われた。教皇の導入の言葉に続き、説教と挨拶は、隣に座った国務省のパオロ・ブライダ師によって代読された。
*「ホロドモール」を思い起こす
教皇は、1930年代に旧ソ連、スターリン政権の下で引き起こされ数百万人のウクライナ人が餓死した「ホロドモール」の記念日(25日)と合わせて、今また、ロシアによるウクライナ侵攻で多くの死傷者が出ていることを取り上げ、「その引き裂かれた傷は治癒するどころか、親愛なる人々を苦しませ続ける戦争の残虐行為によって、さらに痛みを増しています」と指摘。
そして、「戦争によって引き裂かれたすべての人々」のために「たゆまぬ」祈りを続けるよう呼び掛けられ、「祈りは、憎しみのスパイラルを打ち砕き、復讐の連鎖を断ち切り、和解の道を開く、平和への力です」と強調された。
*人質全員が速やかに 解放されるように
また、教皇は、聖地に目を向けられ、イスラエルとパレスチナの戦闘が一時休止し、人質や捕虜の一部が解放されたことを神に感謝された。そして、「(人質と捕虜の)全員ができる限り速やかに解放されるように」と祈られ、「彼らの家族のことも忘れないように」と、聖ペトロ広場に集まった人々に促され、対話の必要性を強調しつつ、「より多くの人道支援がガザに届く」ように祈りるよう求められた。
*COP28会合への出席を前に
最後に、教皇は、30日からドバイで始まる「国連気候変動枠組条約第28 回締約国会議(COP28)」に注目され、 「戦争に加えて、私たちの世界は気候変動というもう一つの大きな危機に脅かされ、地球上の生命、特に将来の世代が危険にさらされています」と警告。 このような事態は、「生命のためにすべてを創造された神の計画に反しています」と訴えられた。教皇は、12月1日にアラブ首長国連邦を訪れ、COP28の会合に出席する最初の教皇となられる。 教皇は「この旅に祈りを捧げてくれるすべての人々」と「私たちの”共通の家”の保護を心に留めようとするCOP会合参加者たち」に感謝された。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)