(2025.6.8 Vatican News Deborah Castellano Lubov)
8日の聖霊降臨の荘厳ミサ中の説教で、教皇レオ14世は、使徒たちの生活の中で聖霊がどのように 「特別なこと 」を成し遂げたかを思い起こされ、「今日もまた、上の部屋で起こったことが、私たちの中で新たに起こる。 私たちを襲う大風のように、私たちを驚かす衝撃のように、私たちを照らす火のように、聖霊の賜物が私たちの上に降り注ぐ」とされ、聖霊が、私たちの内なる鎖、恐れ、凝り固まった心を打ち砕き、新しく造り変える用意のあることを強調された。
イエスの死後、使徒たちは恐怖と悲しみのうちに、閉ざされた扉の奥に引きこもっていたが、「彼らは新しいものの見方、つまり、起こった出来事を解釈し、復活した主の臨在を親密に体験する助けとなる内的な理解を得ました… 聖霊が、彼らの恐れを取り除き、内なる鎖を打ち砕き、傷を癒し、彼らに力を注ぎ、すべての人に神の力ある御業を宣べ伝えるために、出かけてゆく勇気を与えたのです」と説かれた。
また教皇は、故教皇ベネディクト16世の言葉を引用しながら、 「聖霊は”理解”を授けてくださる。聖霊は、バベルから始まった私たちの ”裂け目”、すなわち、互いに対立させる心と心の混乱を克服し、”国境”を開いてくださいます… それが、私たちの人生を愛へと開く賜物です」と指摘。
「聖霊の存在は、私たちの心の硬さ、心の狭さ、利己主義、束縛への恐れ、そして私たちに自分のことだけを考えさせるナルシシズムを打ち砕きます… 聖霊は 、私たちに挑戦するために」やってくるのです」と述べられた。
さらに教皇は、「聖霊は、私たちが人生に近づき、経験する新しい方法を見出すことを可能にする。 主の賜物である喜びを経験することを教えることによって、主との出会いに導いてくださる… そして、愛に留まることによってのみ、私たちは主の言葉に忠実であり続け、その言葉に私たちを変容させる力を得ることができる」と語られた。
また、「聖霊は、私たちと他者との関係においても”国境”を開きます」とされ、聖霊の賜物は「御自分と御父との間の愛であり、私たちの内に宿るようになる」というイエスの言葉を思い起こしつつ、これによって私たちは「兄弟姉妹に心を開き、私たちの硬直性を克服し、異なる人々に対する恐れを超えて、内に湧き上がる情熱を使いこなせせるようになります」。
さらに、聖霊は 「疑いや偏見、他者を操ろうとする欲望など、私たちの人間関係を乱す、より深く隠された危険を変容させます 」と述べ、「私は、人間関係が不健全な支配欲によって特徴づけられている場合、つまり、悲劇的なことに、最近の数多くの女性殺人の事例が示すように、しばしば暴力につながる態度について、大きな痛みをもって考えます 」と付け加えられた。
続けて教皇は、「聖霊が、私たちの内にある実を成熟させ、善良で健全な人間関係を育む。そうすることで人間関係の境界を広げ、友愛の喜びへと私たちを開きます… 私たちの間に国境や分断がなく、教会の中で互いに対話し、受け入れ合い、多様性を和解させることができ、教会として、すべての人を歓迎し、もてなす場所となるならば」と述べられた。
説教の最後に教皇は、「聖霊は、民族間の境界も開く。神の『息吹』が私たちの心を一つにし、他者を兄弟姉妹として見るようにし、障壁を取り払い、無関心と憎しみの壁を打ち壊します 」としたうえで、「聖霊降臨は、教会を刷新し、世界を刷新する」ことを改めて確認。「聖霊の強い風が、私たちの上に、内に吹き、心の境界を開き、神との出会いの恵みを与え、愛の地平を広げ、平和が支配する世界を築くための私たちの努力を支えてくださいますように」と祈られた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)