(2025.6.29 Vatican News Edoardo Giribaldi)
教皇レオ14世は29日、聖ペトロ大聖堂で、ローマ教区とローマ市の守護聖人、聖ペトロと聖パウロの大祭日ミサを司式され、世界の54人の新任大司教にパリウムの祝福と被服を授けられた。そして、信徒たちに二人の聖人使徒について思いを巡らすよう勧められ、「二人の賜物と生き方は異なりましたが、多様性の中に豊かな調和を体現していました」と語られた。
「パリウム」は、ラテン語で外套またはマントを意味するが、新任大司教たちに教皇が授けられるパリウムは、「ローマ司教である教皇との交わり」と、「羊を肩に担ぐ善き羊飼いに倣い、群れのために人生を捧げるという使命」の証しとして授けられる毛糸の帯です。また、ローマ教会との交わりの中で、大主教が自らの属する管区において法によって有する権力を象徴している。
*二人に共通した殉教、信仰への異なるアプローチ
教皇は説教で、「私たちは信仰における二人の兄弟、ペトロとパウロを『教会の柱』として敬います。二人は共に福音のために命を捧げる覚悟をしていました」とされ、「殉教によって結ばれるこの交わりは、信仰への異なるアプローチと異なる使徒的経験を通して達成されます。聖霊における兄弟愛は、彼らの異なる背景を消し去ることはなかったのです」と説かれた。
謙虚なガリラヤの漁師であったペトロは、主の召命にためらいなく応え、主にユダヤ人に向けて、福音を宣教した。一方、パウロは「ファリサイ派」に属し、キリスト教徒を迫害していたが、「復活したキリストとの人生を変えるような出会い」を経験し、異邦人に福音を伝える、という召命を受けた。
*福音的な率直さ
教皇は、「ペトロとパウロの歴史は、主が私たちを召しておられる交わりとは、声と人格の一致であり、誰の自由も奪うものではないことを示しています。私たちの守護聖人たちは、異なる道を歩み、異なる考えを持ち、時には福音的な率直さをもって互いに議論しました。しかし、それは彼らが使徒的一致(コンコルディア・アポストロルム)、すなわち聖霊における生きた交わり、多様性の中にある実り豊かな調和を生きることを妨げるものではありませんでした」と指摘。
そして、聖アウグスティヌスの言葉を引用する形で、「二人の使徒の祝日は同じ日に祝われます。彼らは一つでした。殉教した日は異なっていたとしても、彼らは一つだったのです」と語られた。
*多様な賜物が一つの信仰告白で一つとなり、福音宣教を前進させる
さらに、「この交わりは、聖霊によって可能になります。聖霊は、多様なカリスマ、賜物、奉仕を通して、違いを一つにし、一致の橋を架けます… このように、多様性の中の一致として交わりを経験することを学ぶことは重要です。そうすることで、様々な賜物が一つの信仰告白の中で一つとなり、福音の宣教を前進させることができるのです」と説かれ、「ですから、違いを一致と交わり、兄弟愛と和解の工房へと変えるよう努力しましょう。そうすれば、教会のすべての人が、それぞれに個人的な歴史を持ちながらも、共に歩むことを学ぶことができるでしょう」と信者たちを促された。
*私たちの信仰に活力を与え、新たにしてくれる
説教の第二のテーマは、ペトロとパウロの模範に倣い、「私たち
の信仰の活力」について。教皇は、教会には「マンネリ化、決まりきったこと、内なる刷新を経験することなく、同じ古い司牧計画に従う傾向に陥る危険性があります」と警告したうえで、「二人の使徒は、新しい課題に積極的に取り組む姿勢を持って、変化を受け入れる心を、私たちに与えてくれます。それは、共同体の生活における『具体的な状況』に対する問いかけと出会いへと導きます。二人は、人々の問いかけと経験から始まる福音宣教のための新たな道を模索したのです」と説かれた。
さらに教皇は、ミサの福音朗読でイエスが投げかけた問い、「では、あなたがたは、私を誰だと言うのか」は、「何世紀にもわたって響き渡り、信者一人ひとりに、自らの信仰の歩みが『主との関係』を支えるエネルギーと活力、つまり『炎』を持ち続けているかどうかを見極めるよう促しています… 歴史のあらゆる瞬間、私たちは常にこの問いを心に留めなければなりません」と促された。
*一致のしるしとしてのローマ教会
これらの問いに答えることで、教会の宣教と使命を新たにすることができます。特に、ローマの教会共同体は、他のどの共同体よりも
、「一致と交わりのしるし、生き生きとした信仰に燃える教会、人々がどこにいても福音の喜びと慰めを証しする弟子たちの共同体」となるよう召されています。
*兄弟大司教たちに交わりのしるしとしてパリウム授与、そして正教会の代表団にも感謝の挨拶
教皇はその後、パリウム(教皇自身との一致を象徴する祭服)を受けるよう招かれた「兄弟大司教たち」に挨拶を述べられた。これは、信仰の交わりの中で、それぞれが託された地方教会を築き上げるためだ。また、ギリシャ正教会のバルトロマイオス総主教から派遣されたエキュメニカル総主教庁代表団にも温かい挨拶を述べられ、「心からの感謝」を表明された。コンスタンティノープル総主教の指定により、カルケドン大主教エマヌエル(コンスタンティノープル総主教区)も式典に出席した。教皇は、ウクライナ・ギリシャ・カトリック教会シノドスのメンバーにも挨拶し、彼らの出席と「司牧的熱意」に感謝し、主が彼らの民に平和を与えてくださるよう祈られた。