(2025.1.19 Vatican News Salvatore Cernuzio)
教皇フランシスコが19日夜に放映されたイタリアのテレビ局Noveの番組「Che tempo che fa」で、シスター・ラファエッラ・ペトリーニを3月にバチカン市国の行政府長官に任命する意向を表明。また、米国のトランプ新政権が移民の大量強制送還を計画していると伝えられていることについての質問に答えて、「もしそのようなことが起これば、それは恥ずべきことでする。社会の不均衡を貧しい人々に負担させるべきではありません」と強く警告された。
Pope Francis appears on ‘Che tempo che fa’

*バチカン市国行政府に初の女性長官任命
シスター・ペトリ―ニのバチカン市国行政府長官への任命は、今月6日にバチカン奉献・使徒的生活会省の長官にシスター・シモーナ・ブランビラを任命したのに続く、重要ポストへの女性登用となるが、教皇は「バチカンでの女性の働きは、ゆっくりではあるが効果的に進んできました。今では、多くの女性が働いています」とされ、バチカンにおける女性に割り当てられた役割を列挙したうえで、「バチカン市国の行政府では、3月に長官になるのはシスターです。女性は我々よりもうまくやっています」と説明された。
ドナルド・トランプ大統領の就任式後に移民に対する大量強制退去計画の可能性が伝えられることについては、「そのような事態となれば、”恥”です… 何もない貧しい人々が、不均衡の代償を払わされることになるからです」と語られた。
*移民の受け入れと少子化問題
移民問題について、教皇は”緊急事態”に対処するための「4つの動詞」を繰り返され、「移民は『歓迎』され、『支援』され、『促進』され、『(現地の人たちと)統合』されねばなりません」と主張された。
また、(先進国で進んでいる)少子化の問題と関連して、「例えば、イタリア国民の平均年齢が46歳になっています… 子供を持たないなら、移民を受け入れるしかありません」と語られた。
*二国家解決策と平和の重要性
教皇は、ガザ地区での19日からの停戦開始とハマスに人質として捕らえられていた3人の女性の解放についても言及され、停戦交渉に携わった人々に対して感謝し、「彼らは素晴らしい」と述べた。そして、バチカンが最終的な解決策として主張している「二国家解決」について「私はそれが唯一の解決策だと信じています」と強調。「それに意欲的な者もいれば、そうでない者もいます… 平和は戦争よりも偉大です」とされ、「平和を追求するために勇気が必要。時には何かを失うが、はるかに多くのものを手に入れることができる」と述べられた。
そして、「戦争は常に敗北です」と改めて強調。交渉の重要性を繰り返され、破壊を助長する武器製造業者の「莫大な」利益を非難された。
*囚人たちを忘れないで
また教皇は、2025年の聖年における中心テーマである「希望」を「岸辺のいかり」とされて、ローマのレビッビア刑務所での聖なる扉の開扉式の説教で表現されたイメージを繰り返された。そして、このような前例のない行為の理由について、「私は常に囚人たちのことを心に抱いているからです… 囚人たちを忘れてはなりません。外にいる多くの人々の方が、彼らよりも罪深い」と語られた。
*ホロコーストに対する恥と悲しみ
1月27日は国際ホロコースト追悼記念日だが、教皇はこの悲劇に「憐れみと恥の念」を表明。2016年にアウシュビッツを訪問された際、「92歳のハンガリー人詩人でホロコーストの生存者である偉大な女性、エディット・ブルックの証言から、その悲劇を直接的に体験することができました」と振り返られた。
*性的虐待は非常に大きな悪、力強く戦う必要
このインタビューでは、性的虐待などその他の問題も取り上げられ、性的虐待について、教皇は「非常に大きな悪。私たちは、力強く戦わなければなりません」と強調。
また、若者たちが「導かれる」必要があること、罪に対して「天使のような」態度を取ることなく、また肉欲的な罪に過度に注目することなく、「すべての人、すべての人、すべての人」に寄り添うことの重要性を説いた。
さらに、「告解で、常に罪を求める人々がいることに嫌気がさします」と指摘。「赦されない罪などありません。なぜなら、神はすべての人を神の元へ、神の子供として、兄弟姉妹として迎え入れたいと願っているからです」と語られた。
*システィーナ礼拝堂での「最初のつまずき」
最後に、教皇は、自身が教皇に選ばれた時、車椅子のある枢機卿に挨拶しようとしたた際、システィーナ礼拝堂の階段で「最初のつまずき」を経験したことを振り返られ、「過ちを犯さないはずの教皇が、過ちを犯す可能性のあることは、この階段から始まりました。つまづいたのです!」とユーモアを交えて語られた。
そして、聖年について、「この機会を逃さないでください。勇気を持って前進してください。そして、ユーモアのセンスを決して失わないで」と信者たちに呼びかけられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)