Pope Francis greets nuns as he arrives for a private meeting with people experiencing economic hardship at the House of the Missionaries of Charity, on the occasion of the Mediterranean Meetings (MED 2023), in Marseille, southern France, on September 23, 2023.
(2025.2.6 Vatican News Deborah Castellano Lubov)
教皇フランシスコは6日、10月19日の「世界宣教の日」に向けたメッセージを発表された。 その中で教皇は、宣教師たちに、祈りによって主に立ち返ることが、「希望の火を燃やし続け、それが大きな炎となって、私たちを取り巻くすべての人々を照らし、温めることができるようにするための鍵です」と励まされた。 メッセージの冒頭で教皇は、「今年の『世界宣教の日』の中心となるテーマは『希望』です。そのため、『すべての人々への希望の宣教者たち』という標語を選びました」とされ、この標語は、キリスト教徒一人ひとりと教会全体に、「キリストの足跡をたどり、希望の使者、希望の建設者となるという私たちの根本的な召命を思い起させるものです」と語られた。
そして、「この文脈において、『世界宣教の日』が恵みの時となることを望みます」とされたうえで、キリスト教宣教者のアイデンティティの3つの側面について考察された。
*主の足跡に従うように促される
まず、「主の足跡をたどること」について考察され、「私たちも主イエスの足跡をたどり、神が私たちに生きることを許されたあらゆる場所や状況において、主と共に、主にあって、すべての人々への希望のしるしとなり、希望の使者となるよう、インスピレーションを感じることができるように」と促された。
次に、教皇は「あらゆる民族の希望の担い手であり建設者であるキリスト教徒」について考察され、「キリストに従い、キリスト教徒は、出会う人々の具体的な生活状況を分かち合うことで、福音を伝えるように、それによって希望の担い手であり建設者となるように、求められています… 主の呼びかけに従うことで、キリスト教徒は、キリストにおける神の愛を伝えるために、他の国々へと出て行きます」と説かれた。
さらに、「このことについて、私は心から感謝しています。皆さんの生活は、すべての民に福音を伝えるために弟子たちを派遣された、復活のキリストの命令に対する明確な応答です」と述べられた。
*”人間的危機”の兆候を示す世界の先進地域で
教皇は、「このようにして、洗礼を受けた人々が『万人のための召命のしるし』となり、聖霊の力と日々の努力によって『万人のための宣教師、主イエスが与えてくださった大きな希望の証人』となることを告げられた。
そして、「この大きな希望に突き動かされて、キリスト教の共同体は、最も『発展した』地域において深刻な人間的危機の兆候を示している世界において、新しい人類の先駆者となることができるのです… そうした危機の兆候は、人々の間に広範囲にわたる戸惑い、孤独感、高齢者が必要としていることへの無関心、困っている隣人を助ける努力をすることへの消極性、として現れています」と指摘。
「技術的に最も進歩した国々では、”近さ”が失われつつあります… 私たちは皆、互いに繋がっていますが、効率への執着や物質的なものへの執着、野心が、私たちを利己的にし、利他主義を不可能にしています」とされたうえで、「福音は共同体生活の中で経験され、私たちを完全で、健全で、贖われた人間性へと回復させることができます」と言明され、世界のすべての信者に対して、「貧しい人々、弱い立場の人々、高齢者、社会から疎外された人々に対して特別な配慮をするように。神の親密さ、思いやり、優しさという形で行うように」と促された。
*祈りと行動によって希望の火を絶やさないように
メッセージの最後に、教皇は「希望の使命を新たにする」というテーマの3つ目の側面に言及。「希望の使命の緊急性に直面している今日、キリストの弟子たちは、まず、希望の『職人』となり、しばしば気もそぞろで、幸せの薄い状態から、人間性を回復させる方法を模索するよう求められています」とされ、「”希望の宣教師”は「祈りの人々」です…なぜなら『希望する人は祈る人である』からです… 祈りは宣教活動の第一であり、同時に『希望の第一の力』であることを忘れてはなりません」と強調。
このことを念頭に置き、教皇は宣教師たちに「希望の使命を新たにしましょう。祈り、特に神の言葉に基づく祈り、特に詩篇に基づく祈りから始めましょう。詩篇は、聖霊が作曲した祈りの大交響曲です。祈ることによって、私たちは神が私たちの中に灯した希望の火を絶やさず、大きな炎として燃え上がらせ、その炎が周囲の人々を照らし、温めることができるようにするのです。また、祈りそのものが呼び起こす具体的な行動や身振りによっても、周囲の人々を照らし、温めることができるようにするのです」と説かれた。
また教皇は、福音宣教はキリスト教の希望そのもののであるとともに、常に共同体のプロセスであり、「福音は最初の説教と洗礼で終わるのではなく、継続するプロセス。洗礼を受けた一人ひとりが福音の道を歩む中で、キリスト教の共同体が形成されていくのです」と述べられた。
さらに教皇は、すべての信者たちに、「宣教活動には、共同体として祈り、行動することが必要です。子供たち、若者たち、大人たち、そして高齢者の皆さん。皆さんの生活と祈りの証し、犠牲、そして寛大さによって、教会の共通の福音宣教の使命に積極的に参加するよう強くお勧めします」と呼びかけられた。
締めくくりに教皇は、「私たちの希望であるキリストの母マリアに目を向けるように。この聖年に加え、これから訪れるすべての年もマリアに委ねるように」とすべての信者たちに勧められた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)