☩「父なる神の愛の、勇気ある証人となれ」-世界の軍隊、警察、治安関係者のための聖年ミサで

Mass in Saint Peter's Square for the Jubilee of the Armed Forces, Police and Security PersonnelMass in Saint Peter’s Square for the Jubilee of the Armed Forces, Police and Security Personnel  (VATICAN MEDIA Divisione Foto)

 

 

*すべてを失ったように思える時も、神から与えられた希望は揺るがない 

   まず教皇は、イエスが鋭い視線で、大勢の人々の中に、岸に近づく二艘の舟と、一晩の無駄な労働の後に空の網を洗っている漁師たちの落胆した表情さえも「見抜いて」いたことに言及され、「イエスの視線が、彼らに対する深い思いやりで満ちていたこと」を指摘。「イエスのこのような振る舞いに見られるように、神が常に私たちに対して示してくださる親密さ、慈しみ、優しさを、決して忘れてはなりません」と説かれた。

 (この後、教皇は、のどの痛みからミサ司式者のディエゴ・ラヴェッリ大司教に、ご自身が事前に準備された説教を代読するよう求められた。教皇は気管支炎にかかられたため、ここ数日、宿舎のサンタ・マルタで活動を続け、会合にも出席されていた。)

 

 そして、教皇は、イエスが漁師たちの落胆ぶりを見て、その中の一人、シモンに、持ち舟にご自分を乗せて岸辺から少し漕ぎ出すように、お頼みになったことを取り上げられ、「イエスは、シモンの人生に入り込み、彼の失望感と無力感を共有したのです… これは重要です。イエスは、私たちがしばしばするように、物事がうまくいかない時、ただ傍観し、ひどく不満を言うようなことはなさらず、進んでシモンに近づき、その困難な時を彼と共に過ごされ、彼の『人生の舟』に乗ることを選ばれたのです」と語られた。

 

 続けて教皇は、イエスが舟に乗ると、腰を下ろして群衆に教え始められたことを取り上げ、「漁師たちの目や心に、実を結ばなかった一晩の労苦のフラストレーションを垣間見られたイエスは、良い知らせを告げ知らせ、失望の暗い夜に光をもたらし、人生の苦闘の中でも神の美しさを語り、すべてが失われたように見えても希望は続くことを再確認するために、舟に乗ったです」と指摘された。

 

 

*そして、奇跡は起こる

 

 「主が私たちの『人生の舟』に乗り込み、私たちを絶えず支え、見守ってくださる神の愛の福音をもたらしてくださるとき、私たちの人生は新たに始まり、希望がよみがえり、熱意がよみがえり、再び海に網を投げ入れることができるのです… この希望のメッセージは、軍隊、警察、治安関係の方々のための聖年を祝う今日、私たちを導いてくれます」と強調。

 そして、ミサに出席したすべての当局者、軍関係団体および学校、軍の司教および司祭に挨拶し、彼らの奉仕に感謝の意を表された。

 

 

*皆さんの特質は「勇気」だ

 

 また教皇は、「皆さん全員が、社会生活、政治生活の多くの側面を包含する崇高な使命-国を守り、安全を維持し、合法性と正義を擁護すること―を託されています」とされ、さらに「乗り込むこと。皆さんの制服、皆さんの人格を形成した規律、皆さんの特徴である勇気、皆さんが誓いを立てたこと、これらすべてが、悪を見つけ報告することの重要性を思い出させてくれるだけでなく、荒れ狂う船に乗り込み、座礁しないよう努めることの重要性を思い出させてくれます」と語られた。

 そして、「法と秩序を守るために都市や近隣にあなたがたが存在すること、そして無防備な人々の味方になることは、私たち全員にとって教訓となり、善はすべてに打ち勝つことができることを教えてくれます」と讃えられた。

 

 

*聖職者の役割は

 

 また教皇は、彼らの仕事はその人生全体を包含するものであり、その仕事を行う際には聖職者が同行していることを思い起こされ、「聖職者たちは、皆さんの真ん中にいる重要な存在。その任務は、歴史の中で時折起こったように、戦争の異常な行為を祝福することではありません。彼らはキリストの存在として皆さんの間にいる。キリストは、皆さんの傍らを歩み、耳を傾け共感を示し、常に新たな一歩を踏み出すよう励まし、日々の奉仕を支援することを望んでいるのです」と強調。

 「道徳的・精神的な支えとして、聖職者は、皆さんのあらゆる歩みに同行し、福音の光のもと、共通善の追求において皆さんの使命の遂行を助けます」と述べられた。

 

 

*命の守護者となる目的を見失わないように、好戦的になる誘惑に警戒して

 

 さらに教皇は、「皆さんが時に大きな個人的リスクを冒しておられることに感謝しています。嵐に翻弄される船に乗り込んでくださることで、私たちを守り、私たちが進むべき道を歩み続けるよう励ましてくださっていることに感謝します」と語られ、同時に「自らの奉仕と活動の目的を見失わないように。その目的は、生命を促進し、生命を救い、生命の絶え間ない守護者となることです」と願われた。

 説教の最後に教皇は、次のように呼びかけられた。

 「好戦的な精神を育む誘惑に対して警戒しなさい。権力の幻想や武器の轟音に惑わされないよう警戒しなさい… 憎悪を植え付け、守るべき友人と、戦うべき敵とに世界を分断するプロパガンダに毒されないよう警戒しなさい。私たち皆が兄弟姉妹となることを望む父なる神の愛の勇敢な証人となるように。共に平和、正義、友愛の新しい時代の担い手となるよう努めましょう」。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2025年2月9日