(2024.11.20 Vatican News Linda Bordoni)
教皇フランシスコは20日朝、開催中のバチカン諸宗教対話省とイランの「宗教間・文化間対話センター」との合同会議の参加者にあいさつされ、「憎悪、敵意、戦争、核紛争の脅威によって引き裂かれ、分断された」世界において、「平和の神を信じるすべての人々に「対話、和解、平和、安全、そして全人類の包括的な発展のために祈り、行動する」よう呼びかけられた。
そして、合同会議が選んだテーマ「教育」を支持され、「共に示すことのできる平和への献身は、世界、そして何よりも将来の世代に対して、私たちを信頼に足る存在にしてくれるでしょう」と期待を述べられた。
あいさつで教皇は、合同会議が示している両者の長年にわたる協力関係に感謝の意を表され、非常に重要な対話の文化を育んでいる、と指摘された。
*イランにおけるカトリック教会の課題
また、テヘラン・イスパハン大司教のドミニク・ジョセフ・マチューを枢機卿に昇格させるという自身の決定に言及され、この決定は「イランの教会に対する親近感と関心を表すものであり、ひいてはイランという国全体を称えるもの」と説明された。
さらに、「イランのカトリック教会の小さな群れは、私の心に非常に近いものです… 宗教、民族、政治的な差別をすべて拒絶しながら、キリストの証人として、また社会全体に静かではあるが重要な貢献をしながら、忍耐強く耐え忍ぶイランのカトリック教会が直面する課題を認識しています」とも語られた。
*家庭における教育の重要性
今回の合同会議のテーマ「『特に家庭における若者の教育:キリスト教徒とイスラム教徒への課題』」については、「なんと素晴らしいテーマでしょう! 生命のゆりかごである家族は、教育の原点です… 私たちは家族の中で歩み始め、他者の話を聞くことを学び、他者を認め、尊重し、他者を助け、互いに調和して暮らすことを学びます」と述べられた。また、異なる宗教的伝統に共通する要素として、「高齢者が若者の教育に貢献している」ことを指摘され、「若者の成長にとって、祖父母の存在がかけがえのないものだ」というご自身の信念を改めて表明された。
*異宗教間の結婚と教育上の課題
また教皇は、「信仰の違いを伴う結婚の複雑な現実」に象徴される、キリスト教徒とイスラム教徒に共通する教育上の課題に光を当てられ、ご自身の使徒的勧告『愛の喜び』を引用して、「このような家族環境は、宗教間対話にとって恵まれた場であることは明らかです」と指摘。
「信仰と宗教的実践の弱体化が、急速に変化する世界に影響を受ける家族に直接的な影響を与えている」現状を嘆かれた教皇は、「家庭がその教育的な使命をよりよく果たすためには、国家、学校、宗教共同体、その他の機関を含むすべての人々の全面的な支援が必要です」と強調された。
*全人類家族との出会いに心を開く
さらに宗教間の対話について、「私たちに、自分たちに馴染みのある思考や行動のパターンから抜け出し、より大きな人類家族の中で出会いに心を開くことを可能にする」と、その意義を説かれ、対話が実りあるものとなるためには、「開放的で、誠実で、敬意を払い、友好的で、具体的でなければなりません」と語られた。
*良心と信教の自由
最後に教皇は、若い世代を教育するにあたって、「私たちは、あらゆる個人、あらゆるコミュニティ、あらゆる民族の尊厳と権利のために、話し、行動することを決して怠ってはなりません」とされ、良心と信教の自由を「人権のすべての基盤」とすることを確認された。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)