(2024.10.17 バチカン放送)
教皇フランシスコは17日、バチカン宮殿で、イタリア・ウンブリア州で開かれたG7のインクルージョン(包括)と障害の閣僚会合の出席者たちとお会いになった。
会見には、日本から閣僚会合に出席した三原じゅん子・内閣府特命担当大臣(障害者施策担当)、千葉明・駐バチカン日本国特命全権大使も出席。
教皇は会見でのあいさつで、障害者の尊厳と権利の推進に対する関係者の努力に、感謝と敬意を表された。
そして、G7として初めてとなったこの課題に関する閣僚会合で、インクルージョン、利用のしやすさ、自立した生活、個人の能力を引き出すことなど、基本的テーマをめぐる会合の成果として、「ソルファニャーノ憲章」に署名されたことを取り上げ、「一人ひとりが普遍的な家族の不可欠な一員であり、誰一人、偏見を生み社会に害をもたらす”切り捨ての文化”の犠牲になってはなりません」と述べられた。
さらに、障害者に対する包括的な取り組みが、すべての国で優先事項として認識される必要を強調され、「最も弱い立場の人々の貢献なくして、人類の真の発展はありません」とされたうえで、「普遍的なアクセシビリティ(「カトリック・あい」注:高齢者や障害者などを含め、誰でも必要とする情報に簡単にたどりつけ、提供されている情報や機能を利用できること)は、物理的、社会的、文化的、宗教的なあらゆる壁が取りのぞかれ、それぞれの人が自分の才能を活かし、共通善に貢献できるようになるまで、また、それが幼年期から高齢期まで人生のあらゆる段階で実現されるまで、追求すべき大きな目標です」と語られた。
また教皇は「障害者が偏見から解放され、人生の道を自ら選択できるように協力することの重要性」を指摘しつつ、一人ひとりの能力を最大限に活かし、労働や、文化、スポーツへの参加から、誰も排除することがないように、と願われた。新しいテクノロジーについても、「誰もがアクセスできるようにするなら、包括と参加のための強力な道具になり得えます」と述べられ、共通善と、出会いと連帯の文化への奉仕を志向し、不平等を助長することなく、不平等を打ち破る手段となるように、その懸命な利用を望まれた。
さらに、気候危機や紛争と結びついた人道的な緊急事態が、「障害者を含む最も弱い立場の人々に過度の損害をもたらすことを無視することはできません」とされ、このような状況の中で、「障害者が取り残されることなく、保護され、適切な支援を受けられるようにすることは、私たちの義務です」と言明された。
あいさつの最後に教皇は「皆さんの仕事は、障害を持つ人々を忘れがちな世界に対する希望のしるしです」と話され、「一人ひとりが、社会にとって大切な贈り物だ」という信念と確信のもとにこの道を歩み続けるよう、参加者たちを励まされた。
G7のインクルージョンと障害の閣僚会合は、14日から16日にかけて、ウンブリア州のアッシジとソルファニャーノを会場に開かれた。障害者を含むすべての人に市民的・社会的・政治的生活への完全な参加の権利を保証するための政策や取り組みを広く共有することを目的としたもので、初日14日は、アッシジの聖フランシスコ大聖堂前で、市民や団体の参加のもとに歓迎イベントが催され、様々な包括プロジェクトが紹介された。15日は、ペルージャの北郊外ソルファニャーノに会場を移し、各国の使節や、諸機関・組織の代表が参加しての準備会議がパネルディスカッションの形で行われた。そして、16日に、ソルファニャーノで、日米英伊などG7加盟国とEU、その他の国々のインクルージョン・障害担当閣僚たちによる会合が開かれた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)