☩「教壇を減らし、ヒエラルキーのないテーブルに皆がつき、知識を求め合うスタイルが必要」教皇、グレゴリアン大学で講話

教皇フランシスコ、ローマのグレゴリアン大学で講話 2024年11月5日教皇フランシスコ、ローマのグレゴリアン大学で講話 2024年11月5日  (VATICAN MEDIA Divisione Foto)

(2024.11.5 バチカン放送)

 教皇フランシスコが5日、ローマの教皇庁立グレゴリアン大学を訪問され、講演された。

 グレゴリアン大学は、イエズス会の創立者の一人で、同会の最初の総長となった聖イグナチオ・デ・ヨヨラが1551年に創始した、コレッジョ・ロマーノを前身とする長い歴史を持つ大学。

 2019年の教皇フランシスコによる同大の再編をめぐる教令を経て、「教皇庁立聖書研究所」と、「教皇庁立東洋研究所」を、その名前を残しながら合併。この二つの研究所と、同大に以前から所属する学部・研究所等からなるアカデミック共同体「コレジウム・マキシムーム」とを合わせて、「グレゴリアン大学」という一つの総体を形作っている。教皇の今回の訪問は、同大の再編完成後、初めて。

 教皇は大学構内のアトリウムで行われた講演で、同大の基礎となったコレッジョ・ロマーノの黎明期、地味な家の扉に「文法学、人文学、キリスト教教理の学校、無料」と書かれていたことに注目。それは、信仰の知識を人間的なものとし、人類に恵みの火花を灯し、学科を超えた研究と教えを育むことへの招きでした、と話された。

 また、この学校の扉に明記されていた「無料」という言葉について、教皇は、無償性は「主人を作らず、すべての人を仕える者とし」、「自由の熱望を解き放ちながら、いつくしみ深い神への驚きに自らを開かせ」、「愛である神の神秘の存在を啓示する」ものであると語った。

 教皇は、「心を失った世界において、こうした神の寄り添い、憐れみ、優しさこそが、誰をも排除せず、すべての人に向かうための常なる最初の一歩となると述べ、そのためにも、差異や混じり合うことを恐れない、人間と民の匂いのする大学が必要とされています」と述べられた。

 そして、「この大学が教会の宣教の道具となるためには、神から来る知識を研究し、それを人類との対話の中で証明し、『自分たちとその他の人々』というアプローチを捨てなければなりません」とも話された。

 教会の学問は長い世紀にわたり上から皆を見下ろしてきたが、それによって多くの過ちを犯した、と語る教皇は、今は謙虚になり、自らの無知と他者の必要性を認める時と述べられ、「今日の複雑な世界にあって、研究には皆の寄与が必要であり、異なるレベルにおいて問題に対応するには、一人の人間の考えだけでは答えを出せません」と語られた。

 そして、「教壇を減らし、ヒエラルキーのないテーブルに皆がつき、歴史の傷に触れながら、知識を求め合うスタイル」を提案され、「それを実現するには、このアカデミックな空間を『一つの心の家』へと変えていく必要があります」と説かれた。

 教皇はこの訪問で、イエズス会関係者とお会いになったほか、同大学の礼拝堂で祈りの時を持たれた。

(編集「カトリック・あい」)

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2024年11月7日