☩「教会はイエスの言葉を使う、”政治の言葉”を使ってはならない」ー教皇、ロシア正教指導者とビデオ会議 Pope Francis and Patriarch Kirill speak by video call (2022.3.16 Vatican News staff reporter) 教皇フランシスコは16日午後(日本時間同日深夜)、キリル総主教らロシア正教会の指導者たちと、ロシアの軍事侵略によって深刻な危機を迎えているウクライナ情勢についてビデオ会議を開かれ、「政治の言葉ではなく、イエスの言葉を使うように」と強く求められた。 *ロシア、ウクライナの交渉に注目、教会も戦火を止める努力を共にする必要 会議後にバチカンのブルーニ広報局長が発表したところによると、会議にはバチカンのキリスト教一致推進評議会のクルト・コッホ議長と、モスクワ総主教区の対外関係部門の責任者も参加。「ウクライナにおいて平和を確実に実現するためにあらゆる手段を尽くす上でのキリスト教徒とその司牧者の役割」に焦点を当て意見が交換された。 その中で教皇はまず、キリル総主教に対して、民の羊飼いとして、平和への道を目指し、平和の賜物と戦闘の停止を祈ろうとする熱意によって持たれたこの会議に参加してくれたことを感謝された。 そして、教皇は、総主教の同意のもとに、「教会は政治の言語を使ってならない。イエスの言語を使う必要がある」と語られ、さらに、「私たちは、神を信じる同じ聖なる民の羊飼いであり、聖三位一体、神の聖母を信じています。だからこそ、私たちは、平和の実現を助け、苦しむ人々を助け、平和の道を模索し、戦火を止める努力を共にせねばなりません」と付け加えられた。 広報局長によると、教皇と総主教は会議で、「進行中のロシア、ウクライナ両国代表による和平交渉が極めて重要であることを確認」した。 *苦しんでいる人々を助けるのが司牧者の義務 さらに、教皇は会議で、交渉によって速やかな停戦を実現せねばならない理由として、「戦争の代償を払うのは国民。爆撃されて命を落とすのはロシアの兵士たちと、一般市民だからです」と述べ、「司牧者として、私たちは戦争に苦しんでいるすべての人々と共にいて、助ける義務がある」と強調された。 また、「教会においてさえも、『聖戦』や『正戦』(注:の正当性)について語った時がありました。だが、今、私たちはこのようなことを話すことができない。平和の重要性へのキリスト教徒の認識が以前よりも強くなっているのです」とも語られた。 会議の最後に、教皇と総主教は、「平和と正義を強固なものとすることに貢献することが、教会に求められている」との認識で一致。教皇は、戦争が人々に強いる犠牲を嘆き、「戦争は常に不公平です。犠牲を払うのは神の民だからです。私たちの心は、戦争の犠牲となったすべての人、殺された子供たち、女性たちの前で涙を流すことしかできない。戦争は決してとるべき道ではない。私たちをつなぐ聖霊は、私たちに、羊飼いとして、戦争で苦しむ人たちを助けるように求めている」と語り終えた。 *教皇と総主教は、ロシアのクリミア武力侵攻を受けた声明で「教会の和平への努力」を確認 教皇と総主教は2016年にキューバで会談し、ウクライナの領土であるクリミアにロシアが武力侵攻した後、続いていたウクライナ東部での紛争について、次のような共同声明を発表していた。 「私たちは、多くの犠牲者を出し、平和に暮らしていた住民に数えきれない傷を負わせ、市民社会を深刻な経済的、人道的危機に陥らせた、ウクライナにおける敵対行為を、強く悲しんでいます… 私たちは、紛争のすべての関係者に、忍耐と社会的連帯、そして平和の構築を目的とした行動を求めます。社会的調和に向けて努力し、対立にくみすることを控え、紛争の激化を助けることのないように、ウクライナの諸教会に求めます」。 さらに、戦争の速やかな終結を祈るように、次のようにキリスト教徒に呼びかけていた。 「私たちは、すべてのキリスト教徒、神を信じる全ての人に対して、神が造られたものを破壊から守り、新たな世界大戦が起きるのを許さないように訴えます。堅固で永続的な平和を確実なものとするために、私たちの主イエス・キリストの福音に基礎を置いた、私たちを結び付ける共通の価値を再発見するために、特別の努力をせねばなりません」 (翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二) ツイート
Pope Francis and Patriarch Kirill speak by video call (2022.3.16 Vatican News staff reporter) 教皇フランシスコは16日午後(日本時間同日深夜)、キリル総主教らロシア正教会の指導者たちと、ロシアの軍事侵略によって深刻な危機を迎えているウクライナ情勢についてビデオ会議を開かれ、「政治の言葉ではなく、イエスの言葉を使うように」と強く求められた。 *ロシア、ウクライナの交渉に注目、教会も戦火を止める努力を共にする必要 会議後にバチカンのブルーニ広報局長が発表したところによると、会議にはバチカンのキリスト教一致推進評議会のクルト・コッホ議長と、モスクワ総主教区の対外関係部門の責任者も参加。「ウクライナにおいて平和を確実に実現するためにあらゆる手段を尽くす上でのキリスト教徒とその司牧者の役割」に焦点を当て意見が交換された。 その中で教皇はまず、キリル総主教に対して、民の羊飼いとして、平和への道を目指し、平和の賜物と戦闘の停止を祈ろうとする熱意によって持たれたこの会議に参加してくれたことを感謝された。 そして、教皇は、総主教の同意のもとに、「教会は政治の言語を使ってならない。イエスの言語を使う必要がある」と語られ、さらに、「私たちは、神を信じる同じ聖なる民の羊飼いであり、聖三位一体、神の聖母を信じています。だからこそ、私たちは、平和の実現を助け、苦しむ人々を助け、平和の道を模索し、戦火を止める努力を共にせねばなりません」と付け加えられた。 広報局長によると、教皇と総主教は会議で、「進行中のロシア、ウクライナ両国代表による和平交渉が極めて重要であることを確認」した。 *苦しんでいる人々を助けるのが司牧者の義務 さらに、教皇は会議で、交渉によって速やかな停戦を実現せねばならない理由として、「戦争の代償を払うのは国民。爆撃されて命を落とすのはロシアの兵士たちと、一般市民だからです」と述べ、「司牧者として、私たちは戦争に苦しんでいるすべての人々と共にいて、助ける義務がある」と強調された。 また、「教会においてさえも、『聖戦』や『正戦』(注:の正当性)について語った時がありました。だが、今、私たちはこのようなことを話すことができない。平和の重要性へのキリスト教徒の認識が以前よりも強くなっているのです」とも語られた。 会議の最後に、教皇と総主教は、「平和と正義を強固なものとすることに貢献することが、教会に求められている」との認識で一致。教皇は、戦争が人々に強いる犠牲を嘆き、「戦争は常に不公平です。犠牲を払うのは神の民だからです。私たちの心は、戦争の犠牲となったすべての人、殺された子供たち、女性たちの前で涙を流すことしかできない。戦争は決してとるべき道ではない。私たちをつなぐ聖霊は、私たちに、羊飼いとして、戦争で苦しむ人たちを助けるように求めている」と語り終えた。 *教皇と総主教は、ロシアのクリミア武力侵攻を受けた声明で「教会の和平への努力」を確認 教皇と総主教は2016年にキューバで会談し、ウクライナの領土であるクリミアにロシアが武力侵攻した後、続いていたウクライナ東部での紛争について、次のような共同声明を発表していた。 「私たちは、多くの犠牲者を出し、平和に暮らしていた住民に数えきれない傷を負わせ、市民社会を深刻な経済的、人道的危機に陥らせた、ウクライナにおける敵対行為を、強く悲しんでいます… 私たちは、紛争のすべての関係者に、忍耐と社会的連帯、そして平和の構築を目的とした行動を求めます。社会的調和に向けて努力し、対立にくみすることを控え、紛争の激化を助けることのないように、ウクライナの諸教会に求めます」。 さらに、戦争の速やかな終結を祈るように、次のようにキリスト教徒に呼びかけていた。 「私たちは、すべてのキリスト教徒、神を信じる全ての人に対して、神が造られたものを破壊から守り、新たな世界大戦が起きるのを許さないように訴えます。堅固で永続的な平和を確実なものとするために、私たちの主イエス・キリストの福音に基礎を置いた、私たちを結び付ける共通の価値を再発見するために、特別の努力をせねばなりません」 (翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)