☩「戦争は人々と歴史を前にした重大な過ち、神の御前における罪」ー ノルマンディー上陸作戦80年で

ノルマンディー米軍戦没者墓地 フランス、コルヴィル・シュル・メールノルマンディー米軍戦没者墓地 フランス、コルヴィル・シュル・メール  (ANSA)

(2024.6.5 バチカン放送)

 連合軍によるフランスのノルマンディー上陸作戦から6月6日で80年を迎え、前日5日夕、バイユーのカテドラルで捧げられたミサに合わせて、教皇フランシスコが参列者にメッセージをおくられた。

 教皇は、仏バイユー=リジュー教区のジャック・ユベール司教への書簡を通して、行政・教会・軍の関係者をはじめ、ミサに参列したすべての人々におくられたメッセージで、「ノルマンディー上陸作戦という、自由を取り戻すための大規模な驚くべき合同の努力を振り返ると共に、そのために払われた多大な命の犠牲 – 戦死した兵士たちの多くは遠い国から作戦に加わった若者たち」だったことに深く心を留められた。

 同時に教皇は、完全に破壊されたノルマンディーのたくさんの都市、そして爆撃の犠牲となった無数の無辜の市民を悲しみのうちに思い出されるとともに、「この作戦がより一般的に呼び起こすものは、子どもを含む多くの人々を苦しませ、家族たちを引き裂き、膨大な破壊をもたらした、あの恐ろしい世界大戦の悲劇です」とされたうえで、「戦争を非難し拒否することなしに、また聖パウロ6世が1965年国連で演説した時のように、『戦争を二度と繰り返してはならない』と叫ぶことなしに、この出来事を記憶することは無駄であり、また偽善です」と強調された。

 さらに、「この数十年間、過去の過ちの記憶は、新たな世界大戦を勃発させることがないように、可能な限りの努力を尽くそうとする人々の確固たる意志を支えてきました。しかし、今日、それとは異なる情勢を見ることで、人間の記憶とは長続きしないものと、悲しくも考えざるを得ません」と述べられ、80周年を記念することが、反戦への思いを取り戻す機会になるように、と願われた。

 教皇は重ねて、「仮定とされていた対立の広がりが、改めて真剣に考慮されるようになり、人々がこの容認し難い不測に少しずつ慣らされていくのは憂慮すべきこと」と嘆かれるとともに、「人々は平和を欲し、安定と安全、発展を望み、その中で各自が自分の義務と使命を果たそうとしています。この尊い秩序をイデオロギー的、国家主義的、経済的な野心のために破壊することは、人々と歴史を前にした重大な過ちであり、それは神の御前における罪です」と言明。

 バイユーのカテドラルに集った人々と祈りのうちに一致したい、とされ教皇は、「戦争を望む人々に回心が訪れるように、また平和のために働く人々の努力が実るように」と祈られた。そして、過去と現在の戦争のすべての犠牲者の冥福を祈ると同時に、「今日の戦争に苦しむすべての人々、特に戦争の悲劇の一番の被害者である、貧しく、弱い立場の人々、お年寄り、女性、子どもたちを助けてください」と神に祈られた。

(編集「カトリック・あい」)

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2024年6月6日