
(2024.12.10 Vatican News Lisa Zengarini)
10日の国連・国際人権デーにあたって、教皇フランシスコがメッセージを発表され、世界の指導者たちに「生活と平和に対する人権は、他のあらゆる権利を行使するための不可欠な条件」と言明。
「戦争で生活と平和という最も基本的な権利を奪われた何百万人もの人々の平和を求める叫び声に耳を傾けるように」と世界の政府指導者に訴えらえた。
国際人権デーは、1948年の世界人権宣言を記念して国連総会で制定が決められた。毎年12月10日に祝われる。性別、国籍、民族、人種、宗教に関係なく、すべての人に与えられた基本的な権利と自由に対する認識を高めることが目的。
「私たちの権利、私たちの未来、今こそ」と題された今年の「人権の日」は、人権がいかにして問題解決への道筋となり、予防、保護、そして善き変革の力として重要な役割を果たすかということに焦点を当てている。 教皇は「国際デー・オン・X(旧称Twitter)」のツイートで、世界の政治指導者たちに対して、「戦争こそが、あらゆる貧困の原因」とされ、戦争によって最も基本的な権利を奪われた何百万人もの人々の平和を求める叫び声に耳を傾けることを求められた。
教皇の言葉は、欧州の指導者たちに国際法の下で全ての人間の尊厳を守り保護する義務を果たすよう促した欧州の教会の主張を反映するものだ。欧州教会会議(CEC)の指導者たちは10日の国際人権デーを前に声明を出し、ここ数十年の人権保護の進展を評価しつつ、「今日の世界で基本的人権の侵害や無視の事例が増加していることに対する深い懸念」を表明。「残虐な犯罪、組織的な不正、法の支配と民主主義の衰退は、個人を脅かすだけでなく、正義、連帯、平和を基盤とする社会の基盤をも損なうものである」と批判。
「欧州の教会は、弱者を支援し保護するという使命の一環として、このような課題に直面しているにもかかわらず沈黙を続けることはできない」とし、ウクライナと聖地で現在も続く戦争、中東の広範な危機、北カフカスの情勢、その他多くの危機を挙げ、欧州の教会は「すべての人々の人権と人間の尊厳が圧迫されている状況を憂慮して見守っている」と述べた。
CEC総幹事のフランク・ディーター・フィッシュバッハ司教は、全欧州の各国政府、機関、およびすべての関連の機関、団体に対して、世界人権宣言を改めて順守し、国際法に基づく義務を履行するよう、強く促した。ルーテル派の司教は、平和的共存の礎としての人権の普遍的視点の擁護に対するCECの取り組みを再確認。「欧州の教会として、苦しむ人々の側に立ち、正義を主張し、すべての人間の尊厳を守り、保護するよう求める声を大きくしていくことを誓う」と述べ、フィッシュバッハ司教が「このことが私たち全員に勇気と思いやり、そして信念を持って、すべての人々の人権を守るために行動するよう促してくれるでしょう」と声明を締めくくっている。