☩「心から望んでいる旅」-教皇、来年のニカイア公会議1700周年にトルコ現地訪問の意向

Pope Francis with the Delegation of the Ecumenical PatriarchatePope Francis with the Delegation of the Ecumenical Patriarchate  (Vatican Media)

(2024.6.28 Vatican News   Christopher Wells)

 教皇フランシスコが28日、バチカン宮殿で、正教会のエキュメニカル総主教庁の使節とお会いになり、ニカイア公会議1700周年となる来年2025年にトルコを訪問する意向を表明された。

 使節は、ローマ教会の創始者で、カトリック教会と正教会の守護の聖人である聖ペテロと聖パウロの祝日(29日)に毎年慣例となっているローマ訪問をしたもので、教皇は会見でのあいさつで、公会議開催地ニカイア(現在の地名はイズニク)             での記念行事に、バルトロメオス総主教から招待されたことを明かされ、「それは、私が心から望んでいる旅です」と招待を受ける意向を示された。

 教皇は、「兄弟の出会いの喜びを体験する」機会を歓迎し、両教会を結びつける「深い絆」と、両教会の一致回復に向けて「共に前進する固い決意」を示されたうえで、70年前にエルサレムで行われた教皇聖パウロ6世とエキュメニカル総主教アテナゴラス1世との出会いを思い起こされ、両教会の再びの歩み寄りを促した「この出会いは、長い世紀を経て大きな希望のしるしとなりました」と述べられた。

 また、2014年に、パウロ6世とアテナゴラス1世の歴史的会見から50年を記念するために、教皇フランシスコご自身とバルトロメオス1世総主教がエルサレムに赴いたことに触れながら、二つの教会の完全な一致に向けて「共に歩む」という決意を強調し、「私たちの教会間の対話は信仰の完全性に危険を及ぼすものではありません。それは主への忠誠心から生じる必然であり、聖霊の導きのもと、贈り物の交換を通じて私たちを全真理へと導くものです」と強調。

 さらに、このエルサレム巡礼に続く、2014年6月8日、教皇はバルトロメオス総主教と共に、正教会のエルサレム総主教テオフィロス3世臨席のもと、バチカン庭園にイスラエルの故ペレス元大統領とパレスチナのアッバス大統領を迎えて、聖地および中東、そして全世界の平和を祈ったことを振り返られたうえで、10年後の現在の状況について「『平和のために共に祈ること』の必要性と緊急性を示しています… それは、戦争が終わり、各国の指導者と紛争当事者が和解への道を再発見し、すべての当事者が互いを兄弟姉妹として認め合うようになるためです」と訴えられた。

 そして、この平和への祈りは、特にウクライナで進行中の戦争など、すべての紛争に及ぶことを指摘され、来年2025年の「希望の巡礼」をテーマとする聖年に言及された教皇は、「この恵みの年を、祈りをもって支えて欲しい… この聖年に皆さんの参加があればとても素晴らしいものになるでしょう」と希望された。

 

*「カトリック・あい」注

・ニカイア(ギリシャ語、ラテン語では「ニケア」)公会議325年にローマ皇帝コンスタンティヌス1世により、キリスト教会内で起きていたさまざまな教義上の対立をなくすために開かれた初の世界公会議。帝国領内、当時キリスト教が広がっていたすべての地域から250名以上の司教が参加したと言われ、「父なる神と子なるキリストを同一本質」とする教理が全会一致で宣言され、現在も信仰宣言に使われているニケア・コンスタンチノープル信条が採択された。復活祭の日付についても「春分の後の満月の次の日曜日」とされ、現在に至っている。また、キリスト教禁教下でび離教を表明した者でも、回心すれば復帰を許すことが教義として定められた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年6月29日