文化教育省は、教皇が推進されているバチカン改革の一環として、教育省と文化評議会を統合して2022年6月に発足したが、今回の総会が初となる。
あいさつで教皇は、二つの機関の統合の目的である「対話、相互作用、革新の潜在能力を最大限に活用し、両者の効果を高める」を確認したうえで、文化教育省の使命の重要性を指摘。
「単に結果を出すだけの教育モデルの作成」に留まらないように注意されるとともに、「私たちの世界は『automaton(ロボット、自動人形)』を必要としているわけではない。私たちの持つ豊かな人的資源の『新しい振付師』『新しい解釈者』『新しい社会詩人』を必要としているのです」と強調された。
さらに教皇は、成功や昇進を最終目標とするのではなく、「まったく異なる何かを」行うよう求められ、次のようなエミリー・ディキンソンの詩を引用する形で、その意向を示された。
あたかも私が、ありふれた施しを求めたかのように、そして、私が不思議に思っているその手で 見知らぬ人が王国を握りしめ、私は当惑しながら立ち尽くす。
まるで私が東方に 私に朝が訪れるよう求めたかのように そして、その紫の堤防が持ち上げられ、夜明けとともに私が打ち砕かれるのだ!
教皇は、この詩は、「他者に視野を広げ、内なる活力に溢れ、新たな可能性のためのスペースを作り、受け取った賜物を分かち合うよう呼びかける」という文化教育省の使命遂行を助けることができる、と語られた。
さらに教皇は、総会参加者たちに、「恐れる必要はありません。案内役であり、仲間であるキリストと共に、あなたがたは自分を超えた『文化と教育の資産の守り手となるのです」とされ、「現在ある哲学、神学、詩、科学の背景には、聖アウグスティヌスやモーツァルト、マーク・ロスコ、ブレーズ・パスカルといった先人たちの仕事や研究の成果があります。それをすべての人に広めるように。希望を忘れてはなりません!」と強く訴え、「袖をまくり、行動を起こすように」と促された。
また教皇は、「今日、世界には歴史上、最も多くの学生が存在しているが、 それにもかかわらず、約2億5000万人の子供たち、十代の若者たちが学校に通えずにいます」と指摘。「子供たちが将来の可能性を最大限に発揮できるような条件を整えられないことで、彼らの未来を奪うことは、文化的な大量虐殺です」と強く批判された。
そして講話の最後に、文化教育省に対し、最近の科学の発展と技術革新のもたらす「利益と危険性」を理解する研究を行うよう求められた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)