Vatican hosts the first-ever International Summit on Children’s Rights (VATICAN MEDIA Divisione Foto)
(2025.2.3 Vatican News Kielce Gussie) 3日にバチカンで開かれた「子供の権利に関するサミット」初会合が同日夕閉幕し、教皇フランシスコは閉幕のあいさつで、今回の会合などを踏まえ、「子供たちに捧げる使徒的勧告」をまとめる意向を表明された。
閉幕あいさつで教皇は、「バチカン宮殿の部屋が、世界中の子供たちが置かれている現実の『観測所』となった」ことを参加者や講演者たちに感謝するとともに、「貧困、戦争、教育の欠如、搾取が蔓延するこの世界で、子供たちは不正や弱さと向き合っている。彼らは、私たちが(これからの)人生をどのように歩んでいくのかを見守っています」と強調。
そして教皇は、今回の会合を、単に「観測」するだけでなく、「実験室」と表現され、聖地代理管理者のイブラヒム・ファルタス神父の「子供たちは、私たちを見ている」という言葉を引用されて、「子供たちは、私たちが人生をどのように歩んでいくかを見ているのです」と語られた。
そのうえで、教皇は「子供たちに捧げる使徒的勧告を書くつもりです」と述べられ、その狙いが、「(今回の会合で語られた)取り組みを継続させ、教会全体に広めることにあります」と説明され、あいさつを締めくくられた。
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*「すべての子供には、私たちの保護を受ける権利がある」とイランのアブドラ王妃
今回の会合には、世界の政治、経済の分野の関係者や子供の問題に関わるNGOの代表など科参加し、7つの分科会に分かれて、現代社会における子供の権利、教育を受ける権利、自由な時間を持つ権利、食糧や医療を受ける権利など、さまざまなトピックが取り上げられた。
講演者の一人、ヨルダンのラニア・アル・アブドラ王妃は、国際社会に対して、置かれた状況に関係なく、すべての子供たちが大切に扱われるように訴え、「すべての子供たちは、私たちから保護とケアを受ける権利を平等に持っています。これは、世界が子供たちに対して約束していることです」と主張。ガザ地区の子供たち関する統計を引用し、「96%の子どもたちが『死が迫っている』と感じており、ほぼ50%が『死を望んでいる』と答えている。私たちは、どうしてこのような状況を招いてしまったのでしょう?」と問いかけ、さらに、「人類が意識的に努力をしなければ、より良い世界の美しいビジョンは実現しません」と強調した。
*「環境破壊の影響に直面するのは今の子どもたちの世代だ」と米区のゴア元副大統領
もう一人の演説者は、米国のアル・ゴア元副大統領は、環境破壊の脅威を取り上げ、「環境破壊は、私たちがこの地球の子供たちに負わせた重荷だ。”意図的な盲目”で、地球温暖化や温室効果ガス、その他の気候変動の影響を、多くの人々が見ようとしなくなっている」と指摘。「その影響に直面するのは現在の世代ではなく、私たちの子供たちの世代なのだ」と訴えた。
*「子供たちの飢餓や不公平の背後にある問題を見さねば」-とギリビGKSD社長
また、医療産業などへの投資・管理会社GKSDのカメル・ギリビ社長は「子供たちの飢餓や不公平を解決するだけでなく、その背後にある問題、その理由を見つけなければならない」と述べ、今回の会合を「単なる言葉に終わらせず、この後も子供たちを支援する呼びかけを継続していくことで、美しいスピーチを聴くだけで満足する従来のこの種の会合とは異なるものとなるようにすべきだ。今日、ここを去る時に、具体的な行動を起こすことを願っている」と主張した。
*「子供の権利の保護とケアに関する8つの原則」の宣言に署名、行動を継続
会合の終わりに、教皇は他の講演者たちとともに「子供の権利の保護とケアに関する8つの原則」を盛り込んだ宣言に署名された。行動を呼びかけ、公正な未来の創造を目的とするこの会合そのものは終了しても、その使命は、すべての子供たちが基本的人権を享受できるようになるまで継続される、としている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)