(2025.1.1 Vatican News Christopher Wells)
教皇フランシスコは1月1日、神の母聖マリアの祝日のミサで、2025年の幕開けを祝され、説教の中で「マリアは『母のように』、私たちを御子、イエスの元に導いてくださる」と語られた。
説教の冒頭で教皇は、「今日の祝日は、主の降誕という神秘に私たちを再び満たしてくれます」とされ、「この神秘は、第二朗読(使徒パウロのガラテヤの教会への手紙、4章4∼7節)でまとめられており、パウロは『神は、その御子を遣わし、おとめから生まれさせた』と述べています。この言葉は今日、私たちの心に響き渡り、私たちの救い主であるイエスが肉体となり、肉の弱さを示されたことを思い起させてくれる」と指摘。
そして、「イエスが女性から生まれたという事実は、神が人間の胎内を通って真に人間となられたことを私たちに思い起こさせます。それは、神が単に、漠然とした宗教的な感情や一過性の感情ではなく、顔と名前を持ち、私たちにご自分との関係を持つよう呼びかけておられることを示しています… イエスは私たちと同じ人間であり、それゆえに私たちを救うことができるのです」と強調された。
聖パウロの言葉はまた、「肉の弱さの中で示されたキリストの人間性についても語っている」と教皇は述べられ、「イエスが、聖母マリアを通じて小さな赤ん坊としてこの世に来られたことは、神がどのような行動を取ることを選ばれるかを明らかにしています… それは、『小ささや隠れ蓑』を通してです」とされた。
そして、「 イエスは、神の愛を、人間の美しさにおいて明らかにしました。私たちの真ん中に住まれ、私たちの日常生活を共有され… 人間の弱さや社会的弱者に対する関心によって、イエスは私たちに神の顔を示されたのです」と述べられた。
そのうえで、教皇は、「彼女のように、貴重な生命を守ることを学びたい」という願いを込めて、「この新しい年を神の母マリアに委ねるように」と信者たちに呼びかけられた。
続けて、教皇は、「今日の『世界平和の日』に、私たち全員が、マリアの母性から発せられる呼びかけに応えるよう招かれています。命を大切にし、命を慈しみ、女性から生まれたすべての人々の生活に尊厳を取り戻すことを。なぜなら、それが平和の文化を築くための基盤となるからです」と説かれた。それが、教皇が「受胎から自然死に至るまで、人間の生命の尊厳を尊重することへの確固たる誓約」を呼びかけた理由だ。
説教の最後に教皇は、「この新しい聖年にあたり、マリアにすべてを委ねようではありませんか。私たちの疑問、不安、苦しみ、喜び、そして心に抱えるすべての思いを、マリアに委ねようではありませんか。全世界をマリアに委ね、希望がよみがえり、地球上のすべての人々に平和が訪れるようにしましょう」と信者たちに強く促された。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)