
(2025.9.3 Vatican News Linda Bordoni)
教皇レオ14世は3日の水曜恒例一般謁見で、世界の国々や国際機関に対し、内戦による荒廃したスーダンで苦しむ数十万の人々への人道支援を求めるともに、ダルフール地域で発生した洪水による壊滅的な土砂崩れの犠牲者のために祈るよう願われた。
教皇は「スーダン、特にダルフール地域から衝撃的なニュースが届いています。エル・ファッシャーでは、飢餓と暴力の犠牲となった多数の民間人が街に閉じ込められていまする」と述べ、スーダンでの29か月に及ぶ内戦がもたらした死と大規模な避難民について言及し、同国政府関係者と世界の国々、国際機関などに、「人道回廊の確保と、この人道的惨事を止めるための協調的な対応の実施を、心から訴えます」と述べた。
さらに、戦争と飢饉、コレラ流行に閉じ込められた数十万人の苦しみに対し、外交的努力による紛争終結を訴え、「紛争を終結させ、スーダン国民に希望と尊厳、平和を取り戻すため、当事者間の真剣で誠実かつ包括的な対話を始める時です」と強調された。
また、土砂崩れ犠牲者への祈りを求める教皇の言葉は、英語で行われ、「タラシンでは壊滅的な土砂崩れが多くの死者を出し、痛みと絶望を残しました。それだけでは足りないかのように、コレラの蔓延がすでに疲弊した数十万人の人々を脅かしています」と訴え、「私はこれまで以上にスーダン国民、特に家族、子供たち、避難民に寄り添います。犠牲者全員のために祈ります。スーダン・マラ山地で起きた土砂崩れ被害者のために、皆さんにも、共に祈ってほしい」と求められた。
そして、命を落とした人々に、主の永遠の平安を、遺族には慰めと力を祈りつつ、「こうした悲劇の最中にあっても、神の愛への希望を決して失ってはなりません」と訴えられた。
【スーダンの内戦】
スーダンの内戦は2023年4月、長期に独裁者として権力を振るったオマル・アル=バシールが追放された後、政府軍と武装勢力 Rapid Support Forces の主導権争いの形で始まった。死者は最大15万人、避難民は約1200万人に上ると推定されている。人道支援団体によると、世界最大級の人道危機が起きており、約3000万人が支援を必要としている。 家屋や病院、学校が破壊され、日常生活に必要なサービスは停止。栄養失調や食料不安は深刻化しており、約68万人が壊滅的な食料不足状態にある。
特に内戦が激化している北ダルフール州の州都エル・ファッシャーでは、致死性のコレラが猛威を振るっており、南コルドファン州のカドゥグリと北コルドファン州のエルオベイドという他の2都市も、国連機関による支援物資の配送が不可能な状態となっている。
政府軍、武装勢力ともに、民間人への強姦、拷問、殺害など、国際法への露骨な無視と戦争犯罪の疑いで非難されている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)