この中で教皇は「人身取引は多くの場合、目に見えない形で行われている」と指摘。勇気あるジャーナリストたちが今日の奴隷制度に光を当てているが、「無関心の文化が私たちを無気力にさせている」とされ、「奴隷のように扱われている多くの兄弟姉妹のために行動し、彼らのために自分たちの人生と心を開くように」と促された。
そして、「人身取引に対抗するために必要なこと」として、「耳を傾ける」「夢見る」「行動する」の3つを挙げ、まず、「苦しんでいる人に『耳を傾ける』ことは、この問題に取り組むために本質的なもの。人身取引の犠牲者たちの助けを求める叫びを聞き、彼らのたどった道をもとに自らの意識に問いかけ、人身取引の被害者たちと共に自由と尊厳ある世界を『夢見る』ことが大切です」と説かれた。
そして、「イエス・キリストの霊の力のもとに、人身取引に対抗する具体的な『行動』を通して、この夢を現実に変えなくてはなりません」と強調された。
さらに、人身取引に反対するだけでなく、「その原因となっているものを根絶するところまで、たどり着かねばなりません」と語られ、「人身取引に反対し、犠牲者たちに尊厳を取り戻すために、あらゆる力を動員し行動する必要がある。彼らの現実、声に目を背け、耳を塞ぐなら、私たちも人身取引の”共犯者”になります」と訴えられた。
「世界人身取引に反対する祈りと啓発の日」は、教会暦中の聖ジュゼッピーナ・バキータの日である2月8日に毎年記念される。スーダン出身の、カノッサ会修道女、聖バキータは、幼少時に奴隷商人に売られ、壮絶な体験を経ながらも、信仰の恵みに導かれ聖性へと達した。女子修道会の国際総長会議(UISG)は、聖バキータを人身取引反対のための取り組みの普遍的シンボルとし、聖バキータの日を同記念日に定めている。
(編集「カトリック・あい)