☩「二つの悪のうち、ましな方を選ばねばならない」-教皇、機中会見で、米大統領選で「中絶」や「移民受け入れ」の是非が争われていることに

(2024.9.13 Crux   Senior Correspondent  Elise Ann Allen)

    帰国途上の教皇専用機内で – 教皇フランシスコは13日、シンガポールからローマに戻る機内で記者会見をされ、米大統領選挙で妊娠中絶や移民反対を掲げる候補がいることでどちらに投票するか悩んでいるカトリック教徒は「二つの悪のうち、よりましな方」を選ばねばならない、と語られた。また、バチカンと中国との関係やガザでの戦争、聖職者による性的虐待がもたらしている危機などの問題にも言及された。

*「移民は、聖書に記された権利、移民反対は罪だ」

 教皇は米大統領選挙で移民反対の候補者がいることについて、「移民を追い出す者も、子どもを殺す者も、どちらも生命に反対している」とされ、移民を歓迎しないことは「罪である」と述べ、「旧約聖書には『孤児、未亡人、そしてよそ者』の誰を歓迎すべきかの明確な規範が示されています。イスラエルの民が守らなければならなかったのは、彼らです」と語られた。

 そして、 「移民を守らない者は罪深い。それは罪です。移民の命に対する罪でもあります」と言明。ご自身が2015年に米国を訪問され、メキシコとの国境近くのエルパソでミサを捧げられたことを振り返られ、「そこで私は、米国に入ろうとしたが、そこで悲惨な結末を迎えた多くの移民の靴を見ました」と述べたうえで、「今日、中央アメリカには移民の流れがあり、彼らは時には奴隷のように扱われています。移民は権利であり、聖書に記された権利なのです」と強調された。

*「教会は妊娠中絶を認めない、それは”暗殺”です」

 

 妊娠中絶について教皇は、「受胎後1か月以内に、胎児は人体に含まれるすべての臓器を備えていることが科学によって証明されています… 中絶は人間を殺すことです。 この言葉が好きでも嫌いでも、それは殺すためのものです」とされ、「教会は中絶を認めません。それは殺すためのものだからです。それは”暗殺”。私たちはこのことについて明確にしなければなりません」と語られた。

 そして、「移民を追い出すことはひどいことであり、そこには悪がありますが、母親の子宮から子供を追い出すことは暗殺です。なぜなら、そこには命があるからです。私たちは、これらのことについてはっきりと語らねばなりません。そこには『しかし…』はありません」と言明された。

 米国の大統領選挙でカトリック教徒が中絶賛成派の候補者に投票することが道徳的に許されるかどうかについて、教皇は、「カトリック教徒は、何があろうと投票する必要がある。政治道徳では、一般的に、投票しないのは良いことではなく悪いことだと言われています。投票せねばならず、その場合、より小さな悪を選ぶ必要がある。では、『より小さな悪』とは何でしょう?あの女性か、それともあの男性か?私には分かりません。各自が良心で考えねばなりません」と語られた。

  教皇のこの発言は、米国の大統領選挙を前に移民と中絶の両方が有権者にとって大きな関心となる中で、カマラ・ハリス副大統領とドナルド・トランプ前大統領の両候補による最初の討論会の後になされた。 選挙を控え、民主党は妊娠中絶の権利拡大を約束した。共和党はこの問題を各州に任せるのが最善だとしたが、トランプ氏自身のこの問題に対する立場は選挙期間中に変化してきた。また、トランプ氏は移民問題で、過去に中南米からの移民の入国を阻止するためメキシコ国境に壁を建設すると言明し、実行したが、今回、再選された場合、数百万人の不法移民を出身国に送還する計画を”公約”している

*中国とは司教任命についての暫定合意の「再延長を交渉中」

 教皇はまた会見で、バチカンと中国の協力、そして物議を醸した2018年の司教任命に関する両国間の暫定合意の評価についても質問を受けた。
 教皇は、「中国との対話に満足しています。これまでの結果は良好です。司教任命についても善意を持って取り組んでいます」と答え、 「私にとって中国は夢です。中国を訪れたい。素晴らしい国。中国を尊敬しています… 中国は何千年もの歴史を持つ国であり、これまで存在してきたさまざまな民主主義体制を超えて、対話し、相互理解する能力を持っています」とし、中国を「教会にとっての希望であり、希望」と述べた。
 そのうえで、教皇は、「バチカンと中国当局は現在、2018年の協定(司教任命に関する暫定合意)の3度目の更新のための交渉を行っています」と語った。
 教皇のウクライナ特別平和特使でイタリア司教協議会会長のマッテオ・ズッピ枢機卿は、人道的・平和的取り組みを促進するため、昨年夏に北京を訪問しているが、世界的な紛争の終結を仲介する上で中国が果たすことのできる役割について、教皇は「紛争においては協力は可能です。現在、ズッピ枢機卿がこれに取り組んでおり、中国とも関係がある」と述べた。

*聖職者による性的虐待は、「神の似姿である人の尊厳を破壊するもの。隠してはならない」

 教皇はまた、教会の聖職者による性的虐待がもたらしている危機、具体的には、十代の少年を虐待し強姦したとしてバチカンから制裁を受けたノーベル賞受賞者の東ティモールのディリ元司教カルロス・シメネス・ベロや、貧困者やホームレスの擁護者として知られ、現在は亡くなっているカプチン派の司祭、フランス人の”アベ・ピエール”(本名はアンリ・グルエス)のケースに触れられた。ピエールは、少なくとも24人の女性から、同意のないキス、強姦、子供への性的接触など、性的虐待や嫌がらせで告発されている。告発は数十年前に遡り、7月にも新たな告発がされている。

 この問題について教皇は、「非常に痛ましく、非常にデリケートな問題」されたうえで、ピエール神父のように「善行をする人がたくさんいるが、多くの善行をすると、その人が悪い罪人だと分かる。これが人間の常だ」と指摘。だが、「公の罪は、非難されるべきです… 私たちはこれらのことについてはっきりと話し、隠すことがないようにしなければならない」と言明された。

 そして、「聖職者による虐待との戦いは、すべての人に関わるもの。虐待は、悪魔的なもの、あらゆる種類の虐待は人の尊厳を破壊するもの。私たち全員の本質、つまり神の似姿を破壊しようとするものです」と強く批判された。

 

*ガザで続く戦闘、「平和に向けた前進はまだない」

 イスラエルのガザ地区でのハマスとの戦いについて、教皇は、子供たちが殺害され、民間人が爆撃されていることを非難され、「戦闘員がいると仮定して学校を爆撃するなど、これはすべて恐ろしい、恐ろしいことです」と批判。「『防衛戦争だ』という話も時々聞きますが、戦争は常に敗北です」と改めて言明された。

 平和への取り組みについて、教皇は「残念なことですが、平和に向けて前進しているとは思えません」としつつ、ヨルダンのアブドラ2世国王の取り組みに感謝し、「彼は平和の人であり、平和を作ろうとしている。彼は善良で素晴らしい人だ」とその努力を称えられた。

 

*今後の外国訪問は「移民との関わりを持つカナリア諸島を検討中」

 今後の外国訪問について、教皇は、2019年に火災で破壊されたパリのノートルダム大聖堂の修復落成式ミサには出席されない、とし、アルゼンチンへの再訪の可能性についても、「まず解決しなければならないことがいくつかあります」と述べた。海を渡る移民が多くいるカナリア諸島への訪問を検討しており、「カナリア諸島の政府と人々への親近感を示したい」と述べたが、時期については明らかにしなかった。

 会見で教皇が言及されたその他のトピックは、訪問した各国のハイライト、ベネズエラの現状、気候変動を真剣に受け止める必要性、この問題に関する世界会議を「決定的ではない」と呼んだこと、そして死刑制度について、シンガポールなどでは合法だが、「徐々に廃止しなければなりません」と語られたことなどがあった。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
 Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

 

*参考*以下はVatican News による記者団とのやり取り全文の暫定英語版より、翻訳。未定稿。

 

 ご存知のとおり、常に学ぶべきことはあります。なぜなら、人や国によって豊かさは異なるからです。だからこそ、コミュニケーションにおける友愛はとても重要なのです。たとえば、東ティモールではたくさんの子供たちを見ましたが、シンガポールではそれほど多くは見ませんでした。おそらく、それは学ぶべきことなのでしょう… 未来は子供たちにあります。このことを考えてみてください。ああ、もう 1 つ。シンガポールの住民はとてもフレンドリーで、いつも笑顔です!

 

デルフィム・デ・オリベイラ (GMN TV):タチ・トルでのミサの最後に、ワニの存在に注目しましたね。それはどういう意味ですか?

 

教皇:私はワニが陸に上がるイメージを使いました。東ティモールにはシンプルで楽しい家族文化があります。子供がたくさんいます。とてもたくさんです! 私がワニについて話したとき、私は皆さんの調和を台無しにする可能性のある外部の考えについて言及していました。私はこう言わせてください。私は東ティモールに恋をしました。他に何かありますか?

 

オリベイラ:東ティモールではカトリック教徒が多数派ですが、宗派が増えています。「ワニ」という言葉も宗派を指しているのでしょうか?

 

教皇:それはあり得ます。私はそのことについて話しているわけではありません。話せませんが、あり得ます。なぜなら、すべての宗教は尊重されなければなりませんが、宗教と宗派には区別があるからです。宗教は、それが何であれ、普遍的です。宗派は制限的であり、常に異なる目的を持つ小さなグループです。ありがとうございます。そして、あなたの国に賛辞を送ります!

 

 

フランシスカ・クリスティ・ロザーナ (テンポ・メディア・グループ):インドネシアの人々は、カトリック教徒だけでなく、長い間あなたの訪問を心待ちにしていました。私の質問は次のとおりです。この国がまだ民主主義に苦しんでいることをご存知でしたか? あなたはこれをどう見ていますか? そして、私たちへのメッセージは何ですか?また、インドネシアはパプアニューギニアのような問題に直面しています。パプアニューギニアでは、採掘産業が寡頭政治家にのみ利益をもたらし、地元住民や先住民は利益を得ていません。あなたの考えと、私たちに何ができるでしょうか。

 

教皇:これは発展途上国によくある問題です。だからこそ、教会の社会教義にあるように、社会のさまざまなセクター間のコミュニケーションを確保することが重要なのです。インドネシアは発展途上国であり、おそらく発展が必要なのは社会関係だとおっしゃいました。訪問は楽しかったです。とても美しかったです!

 

 

マテオ・ブルーニ:パプアニューギニアの報道陣はあなたの旅を詳しく追っていましたが、残念ながら記者を飛行機に乗せることはできませんでした。パプアニューギニア、特にバニモについて何かお話しいただけることがあればお聞きしたいのですが、バニモは法王様が個人的に訪れたかった場所のようですね。

 

教皇:私はその国が好きで、力強い発展途上国を見ました。私は、アルゼンチンから来た司祭や修道女たちのグループに会うためにバニモに行きたかったのですが、とても美しい組織を見ました。どの国でも、ダンスや詩的な表現など、芸術は高度に発達しています。しかし、パプアニューギニア、そしてバニモでの芸術的表現は印象的でした。これは私に深い感銘を与えました。宣教師たちは森の奥深くまで行って働きます。私はバニモと国全体が好きです。

 

 

ステファニア・ファラスカ(ティアノウジク):私たちはシンガポールから来たばかりです。シンガポールは人口の大半が中国人で、平和共存のモデルとなっています。平和に関して、特にシンガポールは中国本土に近いので、ガザのような紛争地域での停戦を実現しようとする中国の努力について、あなたの考えをお聞かせください。7月には、パレスチナの分裂を終わらせるための北京宣言が調印されました。中国と教皇庁の間に、平和に関する協力の分野はあるのでしょうか?そして最後に、司教任命に関する中国とローマ教皇庁の合意の更新が近づいています。これまでの結果と対話に満足していますか?

 

教皇:最後の点については、はい、中国との対話に満足しています。結果は良好です。司教任命に関しても、物事は善意を持って進んでいます。国務省と話しましたが、物事の進み具合に満足しています。中国については、私は中国を「イリューシオン」(編集者注)と見ています。つまり、中国を訪問したいと思っています。中国は素晴らしい国であり、私は中国を賞賛し、尊敬しています。

中国は古代の文化を持ち、これまでのさまざまな政府システムを超えて、お互いを理解するための対話能力を持つ国です。私は中国が教会にとっての約束であり希望であると信じています。協力は可能であり、紛争についてももちろん可能です。ズッピ枢機卿はこの分野で活動しており、中国とのつながりを持っています。

 

 

 

アンナ・マトランガ(CBSニュース):あなたは常に生命の尊厳を擁護する発言をしてきました。出生率の高い東ティモールでは、多くの子供たちがいて生命が脈動し爆発しているのを感じたとおっしゃいました。シンガポールでは、移民労働者を擁護しました。米国選挙が近づいていますが、妊娠中絶を支持する候補者と1100万人の移民を国外追放したい候補者に直面しているカトリックの有権者に、どのようなアドバイスをされますか?

どちらも生命に反しています。移民を追い出す候補者と、子供たちを殺す候補者です。どちらも生命に反しています。私は決められません。私はアメリカ人ではないし、投票にも行きません。しかし、はっきりさせておきたいのは、移民が働く機会や歓待を受ける機会を奪うことは罪であり、重大な罪であるということです。旧約聖書は、孤児、未亡人、そしてよそ者、つまり移民について繰り返し語っています。イスラエルが世話をしなければならないのは、この3人です。移民の世話を怠ることは罪であり、生命と人類に対する罪です。

私はエルパソ教区近くの国境でミサを捧げました。移民の靴がたくさんありましたが、彼らはそこで悲惨な結末を迎えました。今日、中央アメリカ内で移民の流れがあり、人々が状況を利用するため、多くの場合、彼らは奴隷のように扱われています。移住は権利であり、聖書と旧約聖書にすでに存在していました。外国人、孤児、未亡人、このことを忘れないでください。

それから、中絶。科学によれば、受胎後1か月で、人間のすべての臓器が揃っています。すべてです。中絶は人間を殺すことです。その言葉が好きかどうかにかかわらず、それは殺人です。教会は中絶を禁じているから偏見を持っているわけではありません。教会が中絶を禁じているのは、中絶が人を殺すからです。それは殺人です。それは殺人です!

そして、私たちはこれについて明確にする必要があります。移民を送り出し、成長させず、命を与えないのは間違っている、残酷なことです。命があるのに、子供​​を母親の子宮から送り出すのは殺人です。そして、私たちはこれらのことについて明確に話さなければなりません。「いいえ、しかしながら…」いいえ、「しかしながら」。どちらも明らかです。孤児、よそ者、未亡人、このことを忘れないでください。

マトランガ:あなたの意見では、中絶を支持する候補者に投票することが道徳的に許される状況はありますか?

教皇:政治道徳では、一般的に投票しないことは醜い、良くないと言われています。人は投票しなければなりません。そして、より小さな悪を選ばなければなりません。どちらがより小さな悪ですか?あの女性か、あの男性か?私にはわかりません。各人が自分の良心に従って考え、決定しなければなりません。

 

 

ミモ・ムオロ(アヴェニーレ):ガザ紛争がヨルダン川西岸に波及するリスクがあります。数時間前に爆発があり、国連職員を含む18人が死亡しました。今、あなたはどのような気持ちですか。また、戦闘当事者に何と言いますか。聖座が停戦と待望の平和を実現するために仲介する可能性はありますか。

 

教皇:聖座はそれに取り組んでいます。一つ言わせてください。私は毎日ガザに電話をしています。そこには教区があり、その学校には600人のキリスト教徒とイスラム教徒がいて、兄弟姉妹として暮らしています。彼らは私に恐ろしい話、困難なことを話します。

この戦争が過度に血なまぐさいかどうかはわかりませんが、子供たちの死体が殺されるのを見たり、学校がゲリラがいるかもしれないという理由で爆撃されたと聞いたりすると、恐ろしい気持ちになります。恐ろしいです、恐ろしいです。

これは防衛戦争だと言われることもありますが、私は時々、これは戦争だと思っています… あまりにも、あまりにもひどいです。こう言うのは申し訳ないのですが、平和に向けた措置が講じられているとは思えません。

例えば、ヴェローナではとても素晴らしい体験をしました。爆撃で妻を亡くしたユダヤ人男性と、娘を亡くしたガザ出身の男性が、平和について語り合い、抱き合い、友愛の証しをしました。私はこう言います。友愛は、お互いを殺し合うことよりも大切です。友愛とは、握手することです。結局、戦争に勝った者は大敗北を喫するでしょう。戦争は常に、例外なく、常に敗北です。私たちはそれを忘れてはなりません。だからこそ、平和のためになされるすべてのことが重要なのです。そして、私が政治に関わっていることを少し申し上げたいのですが、ヨルダン国王には非常に感謝しています。国王は平和の人です。アブドラ国王は良い人です。

 

 

リサ・ワイス(ARD):今回のご訪問中、教皇様は各国の美点だけでなく、問題についても非常に率直にお話しになりました。このため、シンガポールに死刑制度がまだあるという問題について、なぜ触れないのかと疑問に思っていました。

 

教皇:本当です。思いつきませんでした。死刑制度は機能しません。ゆっくりと廃止する必要があります。多くの国では法律はあっても、刑を執行していません。米国も同じです… しかし、死刑制度は廃止されなければなりません。それは正しくありません。正しくありません。

 

 

シモーヌ・ルプラトル(ル・モンド):東ティモールでは、性的虐待の被害者である若者について触れられました。もちろん、私たちはベロ司教のことを考えました。フランスでは、エマウスの創設者で、フランスで最も愛された人物として数年間選出されたピエール神父の同様のケースがあります。どちらのケースでも、彼らのカリスマ性が告発を信じるのを難しくしました。私は質問したいと思います。バチカンはピエール神父について何を知っていたのでしょうか。そして、これほど多くの善行をした人が犯罪を犯したとは信じがたい被害者や一般大衆に、あなたは何と言えばよいでしょうか。そして、フランスといえば、12月にパリで行われるノートルダム大聖堂の落成式に出席されますか。

 

教皇:最後の質問にお答えします。パリには行きません。パリには行きません。

最初の質問については、あなたは非常に痛ましく繊細な点に触れました。これらは善良な人々であり、アベ・ピエールのように善行を行った人々です。善行を行ったにもかかわらず、この人物が重大な罪人であることが判明しました。これが私たち人間の状態です。

私たちは、「隠して見えないようにしよう」などと言ってはなりません。公然の罪は公然のものであり、非難されなければなりません。たとえば、アベ・ピエールは多くの善行を行った人物ですが、罪人でもありました。私たちはこれらのことについてはっきりと語り、隠してはなりません。虐待との戦いは、私たち全員が取り組まなければならないものです。性的虐待だけでなく、あらゆる種類の虐待、つまり社会的虐待、教育的虐待、人々の心を操作すること、自由を奪うことに対してもです。

私の意見では、虐待は人の尊厳を破壊するため、悪魔的です。あらゆる形態の虐待は、私たち自身、つまり神のイメージを破壊しようとします。これらの事件が明るみに出るのはうれしいことです。

以前も言ったかもしれないことをお話しします。5年前、私たちは性的虐待やその他の虐待について司教協議会の会長たちと会議を開きました。国連からのものだったと思いますが、非常によくできた統計がありました。虐待の42~46%は家族や近所で起こっています(編集者注)。結論として、子ども、未成年者への性的虐待は犯罪であり、恥ずべきことです。

私が答えなかったことが1つあります。バチカンはピエール神父について何を知っていたのでしょうか?バチカンがいつそれを知ったのか分かりません。私はここにいなかったし、調査しようとも思いませんでしたが、彼の死後、それが明らかになったのは確かですが、それより前は分かりません。

 

 

エリザベッタ・ピケ(ラ・ナシオン):教皇在位中、最も長い旅となりました。長期滞在と言えば、多くの同僚から「アルゼンチンに行くのか?」と聞かれます。これが最初の質問です。アルゼンチンに行くのか、行かないのか? 2番目の質問は、ベネズエラの状況は劇的です。あなたが旅行している間、理論的には選出された大統領がスペインに亡命しなければなりませんでした。ベネズエラの人々にどのようなメッセージを送りますか?

 

教皇:私はベネズエラの状況をフォローしていませんが、指導者たちに伝えたいメッセージは、対話に参加し、平和を求めることです。独裁政権は役に立たず、遅かれ早かれ必ず悪い結果に終わります。教会の歴史を読んでください…政府と国民はベネズエラの平和への道を見つけるためにできる限りのことをしなければならないと思います。詳細がわからないので、政治的な意見は言えません。司教たちが話したことは知っていますし、彼らのメッセージは良いものです。

アルゼンチンに行くことに関しては、まだ決まっていません。行きたいです。私の国ですから。行きたいですが、まだ何も決まっていません。まず解決しなければならないことがいくつかあります。

ピケ:行かれるなら、カナリア諸島で”途中下車”できますか?

教皇:私の気持ちを読んだのですね? カナリア諸島に行こうと思っています。海路で移民が到着する状況があり、そこの指導者や人々と親しくなりたいからです。

ジョシー・ボニファシウス・スシロ(Kompas.id): 経済的な理由から、特に新型コロナの世界的大感染以降、一部の国はパリ協定へのコミットメントから距離を置き始めています。 グリーンエネルギーへの移行や化石燃料からの脱却をためらっている国もいくつかあります。 これらの問題についてどう思いますか?

教皇:気候問題は深刻、非常に深刻だと思います。 ピークだったパリ協定(2015年のCOP21、編集部注)以来、気候会議は減少しています。 話は多いが、行動はほとんどない。 それが私の印象です。私は2つの文書でこのことを取り上げました。ラウダート・シとラウダーテ・デウムです。

 

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2024年9月14日