*同性愛者カップルについて-「主は皆を祝福される」
バチカンの教理省が昨年12月の発表以来、世界の教会で波紋を起こしている「条件付きの同性愛者カップルを含む『不規則』な状況にある人々の祝福」について、「主は、皆を祝福されます。私たちは、このような人々と共に手を携えて進まねばならない。初めから彼らを非難しないでください」とされ、祝福は「教会の司牧活動の一つであり、すべてを赦すことが求められている聴罪司祭にとって、重要な役目です」と強調された。
そして、教皇ご自身が、司祭となられてこれまで54年の間に一度だけ、告解をした相手を「偽善者」として赦しを与えなかったことを告白され、「主は私たちの罪に憤慨されることはありません。主は私たちの父であり、共に歩んでくださいます」と説かれた。さらに「地獄は”空”かも知れません」と希望を語られた。
*戦争が、ウクライナの子供たちから笑顔を奪った
また、昨年10月7日のイスラム過激派ハマスのイスラエル攻撃で始まったガザ地区での戦闘、そして2022年2月のロシアによる軍事侵攻で始まり、いまだに大きな犠牲者を出しつつあるウクライナでの戦争などについて、強く非難され、「平和を造ることはリスクを伴いますが、戦争はもっとリスクが高い」と訴えられた。
そして、先週10日にウクライナの子供たちと会見した時の印象を「どの子にも笑顔がありませんでした」と語られ、「チョコレートを渡しても、笑顔を見せてくれなかった。笑顔を忘れてしまったようでした。子供たちをそのようにさせるのは、犯罪。それが戦争です。彼らの夢を妨げるのです… そして戦争の背後にあるのは武器取引です」と強く非難された。
また、現在、ガザ、ウクライナなど世界各地で起きている戦争が長期化し、拡大する恐れを強めていることに、強い懸念を表明され、「戦争の拡大に恐怖を覚えます。その結末がどうなるのか分からないからです。すべてを破壊する核兵器によって終わりを告げるのでしょうか。ノアの箱舟のようになるのでしょうか?人類が今持っている自己破壊力が、私を震え上がらせます」と重ねて警告された。
*しっかりとした移民・難民政策を
移民・難民問題では、チュニジアとリビアの間の砂漠で妻と娘を亡くした若いカメルーン人の男性との出会いを思い起こされた。
教皇は昨年11月にご自分のお住まいであるカサ・サンタ・マルタに彼を受け入れたが、「彼のような移民・難民が故郷を離れて欧州に到着するまでの間に、非常に多くの残酷な経験をしています。誰にも、自分の住まいにとどまり、あるいは、移住する権利があるのです」とされ、関係国などに十分に検討された移民政策の立案、実施を要望されるとともに、「移民・難民問題を悪用する犯罪組織・集団」の徹底排除を求められた。
*教皇辞任は考えていない、今年はポリネシア、アルゼンチンを訪問予定
また、一部にうわさされている教皇辞任の可能性について質問されたのに対しては、「(辞任について)考えも、関心も、強く希望することさえも、ありません」と否定。今年の海外訪問として、8月にポリネシアのいくつかの国に、年末近くに故郷のアルゼンチンを計画していることを明らかにされ、「訪問は年後半になる可能性があります。政権交代、新たな変化…があるからです。私は訪問したいと思っています。Ten years is fine; it is okay, I can go(十年あれば。大丈夫、行けます)」と語られた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)