
(2022.7.6 カトリック・あい)
*「暫定合意は”うまくいっている”」
バチカンと中国の司教任命に関する暫定合意が今年10月に2度目の期限を迎えるが、5日までに明らかになった国際通信社ロイターとのインタビューで、教皇フランシスコは、暫定合意が「うまくいっている」とし、「10月に再々更新できることを希望している」と述べた。
暫定合意は2018年9月末になされ、これにより、事実上、バチカンと中国政府・共産党両者の判断で中国国内における司教任命がされることとされ、中国で教皇の任命を受けないまま政府・党の判断でポストについていた”司教”を教皇が追認した。
*党の指導・監督下に入らない教会や司教、司祭、信徒への弾圧への批判は避ける
ただし、この暫定合意の内容そのものは、4年を経た今も、明らかにされていない。中国国内では、暫定合意後、むしろ政府・党による「中国化」の名の下に、カトリック教会を含む宗教団体への締め付けが強化され、政府・党への服従を拒否する司教、司祭、信徒への弾圧は激しさを増しており、当初、2年を期限としていた再々更新に異議を唱える声も、カトリック教会内外に出ている。
だが、ロイターとのインタビューで、教皇は、この暫定合意を擁護し、「この暫定合意を担当しているのはパロリン国務長官。バチカンで最高位の外交官であり、どう対応すべきかを知っており、中国当局と対話をしている。(再々更新に向けた対話は)前進し、出口を探すためにあらゆる努力をした、と私は信じています。そして、彼らは(再々更新のための出口を)見つけたのです」と説明された。
(以下はVatican News )
*「閉ざされた状況に直面したとき、理想ではなく、可能な道を探さねばならない」
教皇は、このインタビューで、冷戦時代にバチカンと東欧諸国の”東方外交”の立役者だった当時の国務長官、カサローリ枢機卿が述べた「martyrdom of patience(忍耐の受難)」、少しづつ前に進むという政策を擁護。
「多くの人が、ヨハネ23世、パウロ6世、カサローリに対して、いろいろなことを言いましたが、外交とはそのようなものです。閉ざされた状況に直面したとき、人は理想ではなく、可能な道を探さなければならない。外交とは可能性の芸術であり、可能なことを現実にすることなのです」 とし、「バチカンにはいつも、このような偉大な人物がいましたが、(対中外交は)偉大なパロリン氏が進めているのです」と述べた。