☩「レバノン、ガザ、パレスチナ、そしてイスラエル、即時停戦を!」教皇、ブリュッセルでの主日の正午の祈りで

(2024.9.29 Vatican News   Linda Bordoni)

    ベルギー訪問最終日の29日、教皇フランシスコは首都ブリュッセルのボードアン国王スタジアムで3万人が参加したミサ後の正午の祈りの最後に、中東での戦争の激化に深い懸念を表明、すべての当事者に対し「レバノン、ガザ、パレスチナ、そしてイスラエルで即時停戦」をするよう、強く訴えられた。

 「私はすべての当事者に対し、これらの地域での即時停戦するよう要請します… 人質は解放されねばならず、人道支援は認められねばなりません」とされた教皇は、特に、「レバノン紛争の激化を、引き続き苦痛と大きな懸念をもって見守っています… レバノンは”メッセージ”です。しかし今、そのメッセージは引き裂かれつつあります」と強い危機感を表明された。

 教皇がこのように訴えられたのは、イスラエル軍が29日、レバノンでヒズボラのさらなる標的を攻撃し、さらにヒズボラ指導者を殺害した、と発表した直後だった。前日には過激派グループがハッサン・ナスララの死亡を確認し、より広範囲な戦争への懸念が高まっている。攻撃で数百人が死亡し、数千人が負傷した。11か月にわたる容赦ない爆撃でガザを壊滅させたイスラエル軍は、昨年10月7日のハマスによるイスラエルへの大規模攻撃に続く数か月にわたる致命的な国境紛争に続いて、レバノンへの攻撃を開始している。

 教皇は、「この戦争は、国民に壊滅的な影響を及ぼしています。中東では毎日、あまりにも多くの人々が亡くなり続けています」と嘆かれるとともに、犠牲者とその家族のために祈りを捧げるよう求め、善意を持つすべての人々に、ロシアの攻撃で苦しみ続けるウクライナも忘れることのないように求め、「平和のために祈りましょう」と呼びかけられた。

 教皇はまた、29日が「神はその民と共に歩む」をテーマにした「世界移民・難民の日」であることを思い起こされ、「これまでも、そして今も、多くの移民の目的地となっているこの国、ベルギーから、私は欧州諸国と国際社会に対し、移住という現象を友愛の中で共に成長する機会として捉えるよう、改めて訴えます… そして私は、すべての移民の兄弟姉妹の顔に、私たちの間で客人、巡礼者となったイエスの顔を見るよう、すべての人に呼びかけます」と語られた。

 また、この日、ベルギーを発ち、ローマに戻った後、「信仰の人としての模範が指導者たちを照らすであろうボードアン国王の列福手続きを開始する」意向であることを明らかにされ、「ベルギーの司教たちに、この大義を推進するようお願いしたい」と求められた。

 最後に教皇は、平和と友愛の努力を改めて全ての人に訴え、ベルギーで受けたもてなしと、企画したすべての人々の働きに感謝するとともに、この日を共に過ごすためにオランダ、ドイツ、フランスからやって来た多くの信者にも感謝された。そして、聖母マリアに平和の賜物を託され、「マリアのとりなしを通して、戦争で荒廃したウクライナ、パレスチナ、イスラエル、スーダン、ミャンマー、そして戦争で傷ついたすべての土地のために、神に平和の賜物を願いましょう」と信者たちを促された。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年9月29日