(2024.10.11 Vatican News Linda Bordoni)
さまざまな宗派のキリスト教の指導者たちが11日夜、バチカンの殉教者広場で教皇フランシスコ、そして世界中の何千人もの信者とともにキリスト教の一致を願う祈祷会を開き、今から62年前の10月11日に始まった第二バチカン公会議を記念するとともに、新しいキリスト教一致への取り組みの時代の始まりを祝った。
教皇は祈祷会の説教で、キリスト教の団結と殉教について考察され、イエスが語られた言葉―「あなたがくださった栄光を、私は彼らに与えました」(ヨハネ福音書17章22節)を取り上げて、「これは、キリストを証しすることで神の栄光をもたらした殉教者たちに特に当てはまる言葉です」とされた。
聖ペトロが殉教したと伝承されている聖ペトロ大聖堂に隣接する広場で行われた祈祷会では、多くのテキストと祈りが第2バチカン公会議の主要な文書と教えから引用する形で典礼が進められたが、教皇は「教会が殉教者たちの血の上に築かれた」ことを強調され、「それがキリスト教徒の間の一致への永続的な呼びかけの証しであり続けています」と述べられた。
また、教皇は、第2バチカン公会議のエキュメニズムに関する教令 Unitatis Redintegratioの教えから、「キリスト教徒は、キリストに近づくほど、互いに近づく」ことを思い起こされ、「この深いつながりは、教会のキリスト教一致の旅に付き添い続ける聖人と殉教者の祈りによって維持されているのです」と説かれ、第二バチカン公会議の開会にあたって聖ヨハネ23世が「最後の晩餐でのキリストの祈りが、全ての人のために成就される日の夜明けのために働き、苦しみたい」と切望された言葉を繰り返された。
教皇はさらに、「キリスト教の一致とシノダリティ(共働性)は深く絡み合っており、シノダリティは第三千年紀に神が教会に期待する道です」とされ、キリスト教一致への取り組みのシノダル(共働的)な側面を強調。「それはすべてのキリスト教徒が歩むべき道です… シノダリティ(共働性)の旅は… キリスト教一致への旅であり、そうでなければなりません」と強調。
そして、「この旅は、何か新しいものを作ることではなく、聖霊によってすでに与えられた一致の賜物を歓迎すること… 統一は恵みです… (今開かれている)世界代表司教会議(シノドス)総会は発見の”プロセス”であり、その結果を前もって知ることはできません。それは、私たちが求められている一致がどのようにして完全に実証できるか予測できないのと同じです」と語られた。
教皇は、これまでの”シノドスの道”の歩みで学んだ教訓を振り返り、信者たちに、「キリスト教の一致は、”均一化”ではなく”調和”」であると指摘。「一致とは、全てのキリスト教徒の利益のために、聖霊によってもたらされた、多様なカリスマの間の調和です… この調和は人間の努力からではなく、聖バジルが『調和そのもの』と表現した聖霊から来るのです」と説かれた。そして、困難が一致への旅を阻むことはない、との確信をもって、愛と奉仕の道を歩むよう信者たちを促され、「多面的な多様性の調和の中で私たちを一致へと導く聖霊を信頼しましょう」と訴えられた。
また教皇は、キリスト教の一致が、私たちが使命を果たすため、「皆一つとなり、世が信じるようになるため」(ヨハネ福音書17章21節)に欠かすことができない、とされ、キリスト教徒間の分裂は「世を混乱させ」、福音を宣べ伝える教会の使命を損なう、という公会議の教父たちの確信を強調された。
そして、ローマでの先がけとなる殉教者や、今日世界の多くの地域で信仰のために命を捧げている様々なキリスト教徒に代表される「血のキリスト教一致」を思い起こされ、「彼らの証言はどのような言葉よりも力強く語ります」と述べ、「一致はキリストの十字架から生まれること」を信者たちに示された。
説教の最後に、教皇は、今開かれている世界代表司教会議(シノドス)総会が、「キリスト教徒が共通の証しを妨げ続けている分裂を克服する機会」となることへの期待を表明され、「世界は、私たちの共通の証しを必要としています… 私たちはキリストの弟子として共通の使命に忠実であるよう求められているのです」と強調。十字架にかけられたキリストの像の前で使命を受けたアッシジの聖フランシスコを振り返り、「キリストの十字架が、キリスト教徒を導き、互いとすべての被造物との完全な一致と調和へと向かう日々の道を共に歩んでくれるように」と祈られた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
A journey toward harmony, not uniformity
Reflecting on the lessons learned from the synodal process, the Pope reminded the faithful that Christian unity is not uniformity, but harmony.
He said that “unity is harmony among the diversity of charisms”, brought to life by the Holy Spirit for the benefit of all Christians. This harmony, he explained, does not come from human efforts but from the Spirit, whom Saint Basil described as “harmony itself.”
Urging Christians to move forward in love and service, confident that difficulties will not stop the journey toward unity, Pope Francis appealed: “Let us trust the Holy Spirit, who draws us to unity in the harmony of a multi-faceted diversity.”
Unity for the sake of mission
Turning his attention to Christian witness, the Holy Father stressed that Christian unity is essential for mission.
Quoting the Gospel of John, he said, “That they may all be one… so that the world may believe” (Jn 17:21), highlighting the Council Fathers’ conviction that division among Christians “scandalizes the world” and harms the Church’s mission to preach the Gospel.
He pointed to the “ecumenism of blood,” exemplified by the Roman protomartyrs and by Christians of various traditions who, in many parts of the world today, lay down their lives together for their faith.
“Their witness speaks more powerfully than any words,” he said, reminding the faithful that unity is born of the Cross of Christ.
A call to overcome division
In conclusion, Pope Francis expressed his hope that the ongoing Synod would provide an opportunity for Christians to overcome the divisions that continue to hinder their common witness.
“The world needs our common witness,” he said, “and we are called to be faithful to our common mission as missionary disciples of Christ.”
Reflecting on the example of Saint Francis of Assisi, who received his mission before an image of the Crucified Christ, Pope Francis prayed that the Cross of Christ would guide Christians in their daily journey toward full unity and harmony with one another and with all creation.