☩「キリストの希望の光がすべての人を照らしますように」-教皇、主の降誕深夜ミサ、聖なる扉を開き 2025年の聖年開始を宣言

(2024.12.24 Vatican News   Deborah Castellano Lubov)

 教皇フランシスコが24日夜(日本時間25日未明)、聖ペトロ大聖堂の聖なる扉を開き、2025年の「希望の聖年」を正式に宣言され、主の降誕の深夜ミサの説教で、「ベツレヘムにお生まれになった幼子キリストが世界に無限の希望と喜びをもたらす」と確信を述べられた。

 教皇は25年ごとに開催される歴史的なイベントである「通常聖年」を、主の降誕の深夜ミサの冒頭に聖なる扉を開くという典礼を持って開始された。通常聖年に聖なる扉が開かれるのは、2000年に聖ヨハネ・パウロ2世が行って以来のこと。 教皇フランシスコは、2016年を「いつくしみの特別聖年」とされ、2015年の主の降誕の深夜ミサで聖なる扉を開いておられる。今回の聖年は2026年1月6日の主の公現の祝日に聖なる扉を閉じることで終了する。

 

*聖なる扉の意義

 聖なる扉は、そこを通って入るすべての人に聖なる生活を歩むよう呼びかけるための「聖なる」ものとみなされている。教皇に続いて、聖年賛歌が歌われる中で神の民の代表者たちがその敷居をまたいだ。これは、聖年中に聖ペトロ大聖堂を訪れ、救済の神秘を祝う、あらゆる国や言語を話す無数の希望に満ちた巡礼者たちの”前奏曲”となるものだ。

 この慣習の起源は、1423年の特別聖年にラテラノ大聖堂の聖なる扉を開いたマルティヌス5世教皇にまで遡る。聖ペトロ大聖堂では、1450年の聖年に初めて聖なる扉が開かれた。扉の場所は、ヨハネス7世教皇が聖母マリアに捧げた礼拝堂の後壁にある。1500年、アレクサンデル6世教皇は、この聖年の開幕の象徴に、何世紀にもわたってほとんど変わることなく受け継がれてきた儀式を行った。2000年、それまでのレンガ造りの壁が取り払われ、1983年にすでに設置されていた青銅の扉が儀式的に開かれるようになった。

 

 

*信仰を強め、私たちの間にいるキリストを認識するための聖年

  2025年の聖年開始にあたって、教皇は「この聖年に、キリストの希望の光がすべての人を照らし、神の愛のメッセージがすべての人に届けられますように。そして、教会が世界のあらゆる場所でこのメッセージを忠実に証言しますように!」と祈られた。そして、この1年を通して自らを整え、「私たちの信仰を強め、私たちの生活のただ中に復活したキリストを認識し、私たちをキリスト教の希望の巡礼者へと変容させるために祈るように」と世界の信者たちに呼びかけられた。

*私たちを神に似た者とするために地上に降りられた

 ミサ中の説教で教皇は、今回の聖年のテーマである「希望」を取り上げ、まず、ルカ福音書に記された「光に包まれた主の天使が夜を照らし、羊飼いたちに吉報をもたらす場面」を思い起こされた―「私は、すべての民に与えられる大きな喜びを告げる。今日、ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである」(2章10-11節)。

 そして、貧しい人々の驚嘆と天使の歌声の中で天国が地上に現れる様子について思いを巡らせ、「神は、私たちを神に似た者とするために、私たちの仲間となってくださった。神は私たちのもとに降りてきて、私たちを高め、父の抱擁のもとに私たちを回復してくださったのです」と強調。

 

*幼子は世界に希望をもたらす

 

 さらに教皇は「『神は私たちと共に』という意味の『エマヌエル』に、私たちは希望を見出します… 限りなく偉大な方が、自らを小さくされました。天の栄光が、幼子として地上に現れたのです」とさら、「たとえ私たちの心が”粗末な飼い葉桶”のように見えたとしても、神が私たちを訪れてくださるのなら、私たちは心からこう言えます―『希望は死んでいない。希望は生きている。そして、それは永遠に私たちの人生を包み込むのだ!』と」と説かれた。

 

 

*この世の闇に「光の巡礼者」として、希望を携えて進もう

 

 続けて教皇は、聖なる扉が開かれたことで新たな聖年が始まり、「私たち一人ひとりが、この特別な出来事の神秘に踏み込むように、と促されていること」を思い起こされ、「今夜、希望の扉が世界に向けて大きく開かれました… 神は私たち一人ひとりに語りかけ、『あなたにも希望がある!』と告げているのです」と強調。

 「私たちのためにお生まれになった主を、喜びと注意深さをもって見つめ、出会いましょう。日々の生活に希望をもたらすために。キリスト者の希望は、受動的に待つ『ハッピーエンド』ではなく、苦しみとため息の絶えない私たちの世界で、今ここで、歓迎されるべき主の約束なのです」とされた教皇は、「急いで、私たちのために生まれてくださった主を仰ぎ見ようではありませんか。私たちは、心を喜びと注意深さに満たされ、主と出会う準備、そして日々の生活に希望をもたらす準備ができているのですから」と語られた。

 そして、それは、聖年を迎えるにあたっての「ぐずぐずしないこと、古い習慣 に縛られないこと、平凡さや怠惰に甘んじないこと」を呼びかけでもある。教皇は、教会博士である聖アウグスティヌスが、希望とは「間違っていることに憤り、それを変える勇気を見出すよう私たちに呼びかけていること」と示唆したことを思い起され、「主の弟子として、私たちは、神に大きな希望を見出すよう呼びかけられています。そして、その希望を、遅滞なく、この世の闇の『光の巡礼者』として携えて進むのです」と信者たちを促された。

*主との出会いの喜びを再発見する

 さらに教皇は、「兄弟姉妹たちよ。これは聖年なのです。主と出会う喜びを再発見するよう招かれている希望の季節です」とされ、聖年が「私たちを精神的な再生へと導き、世界の変革に私たちを献身させる。そうすることで、今年が真に歓喜の時となるでしょう」と念を押された。

 そして説教の最後に、「愛する姉妹、愛する兄弟たちよ、今夜、神の心の『聖なる扉』は皆さんの前に開かれています。私たちと共におられるイエスは、あなたのために、私たちのために、すべての人々のためにお生まれになりました。イエスとともに喜びは花開き、イエスとともに人生は変わり、イエスとともに希望は裏切られることはありません」と強調された。

*聖年の開始に関わる25日からの教皇行事

 

 主の降誕の主日の25日正午、教皇はローマ市民および世界中の人々に向けてウルビ・エト・オルビ(都市と世界)のメッセージを発せられる。26日、教皇は聖年の歴史で初めて、ローマ市内の刑務所5つに聖なる扉を開く。これは、入所者たちへの教皇の変わらぬ親近感を表す希望のしるしだ。

 29日、聖家族の祝日には、教皇は自身の司教座聖堂であるラテラノ大聖堂の聖なる扉を開かれる。そして、2025年1月1日には、神の母マリアの祝日に、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の聖なる扉が開かれる。最後に、1月5日、主の公現の祝日には、サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂の聖なる扉が開かれる。これら最後の3つの聖なる扉は、2025年12月28日(日)に閉じられる。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

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2024年12月25日