☩「キリストにおいて、私たちは『平和と希望の種』」教皇、9月1日の被造物のための祈願日に向けたメッセージ

(2025.7.2   バチカン放送)

 教皇レオ14世は2日、カトリック教会の「被造物を大切にする世界祈願日」(9月1日)に向けたメッセージを発表された。教皇フランシスコの環境回勅『ラウダート・シ』と共に設けられたこの祈願日は、今年で第10回目を迎える。 教皇レオ14世、2025年度「被造物を大切にする世界祈願日」に向けメッセージ

 今年の「聖年」を背景に記念される2025年度の同祈願日のテーマは「平和と希望の種」。教皇は、前教皇が生前に選ばれたこのテーマに沿ったメッセージで、「イエスは、神の国について語るために、しばしば『種』のイメージを用いておられます… 種は落ちた場所に自分のすべてを委ねながら、その恵みの爆発的な力をもって、思いがけない場所にさえも命を芽生えさせます」とされたうえで、「キリストにおいて、私たちは種。それだけではありません。『平和と希望の種』なのです」と説かれた。

 続いて教皇は、イザヤ書の次の一節を引用され、「不毛で干からびた荒れ野を、休息と平安の庭に変える、神の霊の力」に注意を向けられた—「ついに、高き所から、霊が私たちの上に注がれる。すると、荒れ野は果樹園となり、果樹園は森と見なされる。その時、荒れ野に公正が宿り、正義が果樹園に住む。正義が造り出すものは平和。正義が生み出すものは、とこしえに至る静けさと信頼である。私の民は、平和な住まい、安全な家、心配の要らない安らぎの場に住む」(32章15-18節=日本語訳は「聖書協会・共同訳」を使用)。

 そして「世界の様々な場所で、大地の荒廃が進んでいることは明らかです。至るところで、不正義、国際法と人権の侵害、不平等、貪欲が、森林破壊や、公害、生物多様性の損失が起きています」と、世界の厳しい現実に触れ、「気候変動が引き起こす極端な自然現象は、その激しさと頻度を増しているだけでなく、自然そのものが『交換の道具、経済的・政治的利益のための取引の対象』になっています… これらの傷は、罪によるもの。ご自分に似た者として造られた人間に地球を託された時に、神が意図しておられたこととは、当然、異なる結果です」と指摘された。

 そのうえで教皇は、「環境に対する正義は、単なる環境保護問題を超え、緊急に必要とされています… それは社会正義、経済、人間学の問題であるだけでなく、キリスト者にとっては、神が人間に求められる義務でもあり、被造物の保護は、信仰と人類の問題なのです」と強調。「献身と優しさをもってこの問題に取り組むことで、たくさんの正義の種が芽を出し、平和と希望に貢献することができるでしょう」と世界の信者たちに具体的な努力を促された。。

 教皇はまた、教会がこの分野において蒔いた種の一つとして、教皇フランシスコが「統合的エコロジー教育」を目的に、夏の教皇離宮、カステルガンドルフォで企画された「ボルゴ・ラウダート・シ(ラウダート・シ村)」の事業を取り上げるとともに、回勅『ラウダート・シ』発表後のカトリック教会の10年間の歩みを振り返りながら、「回勅がこれからも、私たちに霊感を吹き込み、『統合的エコロジー』の道を歩み続け、その努力を分かち合うように」と願われた。

(編集「カトリック・あい」)

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2025年7月3日