☩「いかなるキリスト教会も活動を止められてはならない」教皇、ウクライナ正教会のモスクワ総主教庁系の活動禁止措置に

(2024.8.25   Vatican News)

 教皇フランシスコは25日の正午の祈りの後に、改めて、パレスチナ、イスラエル、ミャンマーはじめ戦争で苦しんでいる世界の人々のことを思い起こされ、「皆が平和を求めています!主が私たちすべてに平和を与えてくださるよう祈りましょう」と述べ、速やかな戦争終結のために祈るよう、すべての人に呼びかけられた。

 また、ウクライナのゼレンスキー大統領がウクライナ正教会のモスクワ総主教庁系の活動を禁止する法律に署名したことに、ロシア正教会最高位のキリル総主教が反発、非難声明を教皇フランシスコら世界の主要教会トップらに送付しているが、  教皇フランシスコは25日の正午の祈りの後、ウクライナ政府のこの決定が同国における信教の自由に与える影響について懸念を表明、「いかなるキリスト教会も直接的、間接的に活動を止められてはなりません」と訴えられた。

 教皇は、この問題について、「私はウクライナとロシアでの戦闘を悲しみとともに見守っています。そして、ウクライナで最近採択された法律について考えるとき、祈る人々の自由を心配しています。なぜなら、真に祈る人々は、常にすべての人のために祈るからです」と語られた。

 そして、「人は、祈ったからといって悪事を働くわけではありません。もし誰かが自分の国民に対して悪事を働いた場合、その人は罪を負うことになりますが、祈ったからといって悪事を働いたとは言えない。ですから、祈りたい人は、彼らが自分たちの教会と考えるところで祈ることを許されるようにしてください。どうか、どのキリスト教会も直接的、間接的にも廃止されないようにしてください。教会に触れてはなりません!」と、関係者たちに求められた。

・・・・・

 ウクライナ正教会には、歴史的にロシア正教会の影響が強いモスクワ総主教庁系と、ロシアからの独立を志向する独立系が併存している。2022年2月にロシアがウクライナ侵略を始めた後、モスクワ総主教庁系正教会はロシア正教会からの独立を宣言したが、ロシア正教のキリル総主教はロシアのプーチン大統領との関係が深く、侵略を支持する立場で知られ、関係継続が指摘されていた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2024年8月26日