◎教皇連続講話「聖霊について」⑫「聖霊の息吹に従順であることをマリアから学ぼう」

 

教皇フランシスコ 2024年11月13日の一般謁見 バチカン・聖ペトロ広場教皇フランシスコ 2024年11月13日の一般謁見 バチカン・聖ペトロ広場  (VATICAN MEDIA Divisione Foto)

 教皇フランシスコは13日の水曜恒例一般謁見で、「聖霊について」の連続講話を続けられ、今回は「生ける神の霊によって書かれた手紙:マリアと聖霊」をテーマに話された。

講話の要旨は次のとおり。

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 御言葉、秘跡、祈りなど、聖霊が教会において聖化の業を行う様々な手段の中に、一つの特別な方法、「マリアへの信心」があります。

 カトリック教会の伝統には、「マリアを通してイエスへ」という言葉があり、マリアは私たちをイエスに会わせてくださる。そして、いつも扉を開けてくださる。マリアは私たちの手を取り、イエスのもとに導いて下さるお母さんです。聖母はご自身を示すことなく、イエスを示されます。「聖母の手を通してイエスへ」-これが聖母への信心です。

 聖パウロは、キリスト教共同体を「キリストが私たちを用いてお書きになった手紙であって、墨ではなく、生ける神の霊によって、石の板ではなく、人の心の板に記されたもの」(コリントの信徒への手紙2・3章3節)と表現しています。

 マリアも、イエスの最初の弟子、教会の象徴として、生ける神の霊によって書かれた手紙です。それゆえに、聖母は「すべての人から知られ、読まれる」(コリントの信徒への手紙2‣3章2節参照)存在と言えます。聖母は、神学の本を読まない人も、神が御国の神秘を啓示される「幼子のような者」( マタイ福音書11章25節)も読むことができる手紙なのです。

 マリアは、天使のお告げに「お言葉どおり、この身に成りますように」」と答え、イエスの母となることを受け入れました。マリアの「はい」という言葉は、「私は、主がお望みのように書かれるための、一枚の板です」と神に答えているかのようです。ある聖書学者は、マリアの天使に対する「はい」という返事は、「神の御前におけるあらゆる宗教的態度の中で、頂点をなすものである」(H. Schürmann, Das Lukasevangelium)と述べています。

 マリアは、神の母として、聖霊の聖化の業における道具となりました。神、教会、聖性について話し、記した、とどまることなくあふれる言葉の中で、マリアはいかなる状況でも口にすることができる、単純な二つの言葉を教えてくれます。それは、「私はここにおります」と、「はい」という言葉です。主に「はい」と答えたマリアの模範と取り次ぎは、従順さが求められる状況や、超えるべき試練を前に、私たちも「はい」と主に答えることができるように励ましてくれるのです。

 教会の歴史のすべての時代において、そして特に今日、教会は、イエスの昇天後にキリスト教共同体が置かれた状況を体験しています。それは、「すべての人に福音を告げる」という使命を前に、「高きからの力」を待っている状態です。使徒言行録にあるように、その時、弟子たちが「イエスの母マリア」(使徒言行録1章14節)のまわりに集っていたことを忘れてはなりません。マリアと一緒に他の婦人たちがいたことは確かですが、マリアの存在は、その中でも唯一、特別でした。

 マリアと聖霊は、キリストご自身という、唯一にして永遠の絆で結ばれています。私たちが「使徒信条」で唱えるように、「主は聖霊によってやどり、おとめマリアから生まれた」からです。福音記者ルカは、お告げの時にマリアに訪れる聖霊と、聖霊降臨の際に弟子たちに降る聖霊の一致を意図的に強調し、それぞれの場面でいくつかの同じ表現を用いています。

 アッシジの聖フランシスコは、ある祈りの中で、「王なる天の御父の娘にして、仕え女、至聖なる主イエス・キリストの御母、聖霊の花嫁」と乙女マリアを呼び、挨拶をおくっています。御父の娘、御子の母、聖霊の花嫁、マリアと三位一体の唯一無二の関係を、これ以上に単純な言葉で言い表すことができるだでしょうか。

 すべてのイメージと同様に、この「聖霊の花嫁」のイメージも絶対化することなく、そこにある真理、非常に美しい、その真理を通して理解すべきです。マリアは花嫁ですが、それより先に聖霊の弟子-マリアは花嫁にして弟子なのです。

 聖霊が与える息吹に従順であることをマリアから学びましょう。天使が去った後、マリアがすぐに「出かけて、急いで行った」(ルカ福音書1章39節参照)ように、マリアは「あなたがたも、助けを必要とする人のところへ出かけて行くように」と勧めています。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二=聖書の日本語訳は「聖書協会・共同訳」を使用)

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2024年11月14日