
典礼憲章は、第2バチカン公会議で最初に公布された文書であり、ラテン語で行われてきた典礼を現地語で行うことを認め、信徒のより積極的な参加を奨励したりするなど、典礼に重要な変化をもたらした。
教皇は「典礼は、何世紀にもわたり、福音宣教の原動力となってきました」とされ、「今日、この活力は、真の、生きたカトリックの伝統との連続性の中で、信者たちを真理の完全性へと導くというダイナミズムに従って、新たにされねばなりません」と強調。
特に、典礼の司式という務めを果たす司祭たちに対し、「『神への開かれた心と信頼』という内的な態度から湧き出る、典礼文や規定に対する敬意を常に保ち、神の偉大さの前での謙虚さと、教会の一致に対する誠実な忠実さを示すように」と強く促された。
*典礼の刷新と教会刷新との密接な結びつき
教皇は、ピオ12世の言葉を引用して、「ピオ12世教皇は、教会は『生きた有機体』であり、典礼に関しても『成長し、成熟し、発展し、時代の必要に適応し、それに応じて自らを調整する』と語っておられます。この原則に基づいて、典礼憲章は、その序文で、時代の要請に適応し、信徒のキリスト教生活にますます増す活力を与えるために、典礼を改革する必要性を確認していました」と指摘。
「その歴史的瞬間において、何世紀にもわたり教会が神を賛美し、キリスト教徒を聖別してきた『儀式の刷新』が必要であるという強い認識がありました… この動きを主導した典礼運動のおかげで、典礼の刷新と教会全体の生活の刷新との間には、極めて密接かつ有機的な結びつきが存在する、という確信が熟成していったのです」と語られた。
そして、ヨハネ・パウロ二世教皇の言葉を引用し、「教会は、典礼において行動するだけでなく、自らを表現し、典礼によって生き、典礼からその生命の力を引き出しています」と述べられた。
*伝統に根ざした進歩
また教皇は、典礼憲章が「典礼刷新のための道筋を示していた」ことも指摘。それは、「信徒が典礼の豊かさに触れるのを促すためには、健全な伝統を維持しつつ、正当な進歩への扉を開き、発展を許容する、ということだ」とされ、ベネディクト16世の言葉を引用する形で、「伝統と進歩は、しばしば不器用に対立させられる一方で、実際には、この二つの概念は融合している。伝統は生きた現実であり、それゆえに発展や進歩の原理をその内に包含しているのです」と語られた。
さらに、「公会議は、真の伝統に根ざしたこの進歩の正当性を確認し、典礼において『神によって定められた不変の要素』を、変更の対象となり得る他の要素と区別しています」とされ、「信徒が、典礼、ひいてはキリスト教信仰の基礎である『キリストの復活の神秘』に完全に参加できるよう、この種の変更が、何世紀にもわたって絶えず行われてきました。こうして教会の礼拝は、各時代の文化的形態に『具現化』され、それらに影響を与え、さらには変容させることさえ可能とし、それゆえに礼拝は福音宣教の力となってきたのです」と説かれた。
*交わりを育む進歩
教皇は続けて、公会議の父たちが、典礼の改訂について、「『採用されるいかなる新しい形式も、何らかの形で既存の形式から有機的に発展する』よう配慮して行われねばならない」とし、教会の益のために、あらゆる改革は「常に慎重な『神学的、歴史的、司牧的』な調査に先行されねばならない」としたことを挙げ、「第二バチカン公会議は、信徒の間で混乱が生じるのを避けるよう呼びかけ、誰であれ、自らの判断で典礼上の事柄に何かを加えたり、削除したり、変更したりすることを控えるよう促しています」と指摘された。
そして講話の最後に教皇は、「第二バチカン公会議の憲章で言及されている進歩は、決して教会的交わり(注:地域教会と普遍教会=全世界の教会=の関係)を損なうものではありません。むしろ、それを確固たるものにし、促進しようとするものなのです」と強調して、締めくくられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)