
(2025.1.15 Vatican News Deborah Castellano Lubov)
教皇フランシスコは15日、水曜恒例の一般謁見で、先週に続いて「児童労働という”惨禍”」をテーマに講話をされ、「イエスはご自分の働きの中で、小さな者たちを守り、歓迎し、愛することの重要性を繰り返し語られた」ことを強調された。
講話で教皇は、「主がすべての人を神の子として愛し、特に最も小さい者たちを大切にされていること」を思い起こされたうえで、「世界では今日も、何億もの未成年者が、成人としての義務を負う最低年齢に達していないにもかかわらず、労働を強いられ、その多くが特に危険な労働に従事させられています」と指摘。
さらに、少年少女たちが「売春やポルノを目的とした人身売買の奴隷」となり、あるいは「強制結婚」を強いられている現状を強く非難された。
そして、「私たちの社会では、子供たちが虐待や不当な扱いを受けるやり方は数多く存在しています。そのような児童虐待は、その性質が何であれ、卑劣で極悪非道な行為です」とされ、「それは単に『社会の害悪』だとか、『犯罪』というだけでなく、神の戒律に対する重大な違反です」と言明。
「ですから、私たちには、良心を目覚めさせ、虐待を受けた子供や若者たちに寄り添い、真の連帯を示すことが必要です。また、彼らに成長の機会と安全な場所を提供することに献身する人々の間に信頼と相乗効果を築くことも求められているのです」と訴えられた。
また教皇は、「広範にわたる貧困、家族に対する社会支援手段の不足、失業や雇用の不安定」が、幼い子供たちに最も大きな負担を強いる要因となっていること、子供たちがしばしば「利用」されることを強く非難され、「キリストはこのような幼い子供たちのニーズに応えることを重大な道徳的義務だ、見ておられました」と説かれた。
さらに、「今日、貧困の中で暮らす多くの子供たちが労働を強いられ、また、虐待やネグレクトに苦しめられたり、薬物やギャングに依存させられたり頼ったりしている。このような絶望的な現実を前にして、具体的な行動を起こすべきです」と信者や世界の人々に求められ、各国政府や国際機関に対しても、「多くの国や国際機関がすでに児童労働に対する法律や指令を制定していますが、さらに多くのことができるはずです」と努力を促された。また、世界のジャーナリストたちに対しても、「問題に対する認識を高め、解決策を見出す手助けができるはず」とも述べた。
そして、信者たちに「私たち自身は、自分の役割をはたしているでしょうか。例えば、児童労働を搾取する企業からの製品購入や投資を避けるよう求めたり、マザー・テレサの例に倣い、子供たちが安全と愛情の中で人間として成長し、より良い未来への希望となるよう手助けすることもできるのではありませんか」と呼びかけられた。
マザー・テレサに関しては、「最も恵まれない、忘れられた少女や少年たちの『母』。彼女の優しさと配慮にならうように。そうすることで、自分の目に見えない小さな子供たち、あまりにも多くの奴隷となっている子供たちを、不正を放っておくことのできない世界に同行させることができるからです」と説かれ、すべてのカトリック信者と善意ある人々に、「子供たちの福祉を守り促進するために、自分たちにできることを行うように」と呼びかけられた。
また教皇は「「マザー・テレサと共に、子供たちに声を与えましょう」と次の、彼女の次の言葉を引用された。
「私が遊べる安全な場所をください。愛することができる人の微笑みをください。より良い世界の希望としての子どもでいられる権利をください。人間として育つことができますように。あなたを頼りにしていいですか」。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)