・Sr.阿部のバンコク通信(56)隣国の苦しむ人々に”援助大好き”タイ人は

  隣国ミャンマーの緊迫状況、軍による市民への暴挙ぶりは、コロナ騒動どころではありません。タイ国の西側は、北から南までミャンマーと国境で接しています。非人道的な軍隊の銃弾を逃れる人々が津波のごとくタイ側に押し寄せ、山中に避難し、困難を極める生活状況。タイ側は内密裡に、人道的な援助を続けています。男女修道会連盟は支援物資を募り、カリタスと協力して山岳奥地の最寄りの機関まで運び、そこから内密に避難民に届けられています。

 故郷に残ったミャンマーの人々は、軍の独裁政権からの解放、自由を勝ち取るための懸命な戦いを続けています。14歳の少女が『私が死んでも運動を続けて下さい』と遺言書の名札を胸に、治安部隊の銃弾に倒れました

 クーデターを成功させ、政権を握るつもりが、国家顧問のアウンサン・スーチー女史たちリーダーを逮捕・監禁しても、市民の抗議・抵抗は勢いを増し、スマホで撮影映像を世界に発信する”デジタル・レジスタンス”も活発に行われています。

 通話を遮断し、情報の発信者を摘発する軍の動きに対して、民衆はインターネットに”国民統一政府”を作り上げ、国際世論を味方につける運動を展開し、民主政治回復へ懸命に戦っています。

 タイには、仏頭が破壊されたアユタヤ時代の遺跡が当時のまま残されているように、ミャンマーとの争いで侮辱的な仕打ちを受けた記憶が根強くあり、ミャンマーとはあまり良い仲ではないのです。それでも、苦しんでいるミャンマーの人々を見て、『援助大好き』のタイの人々は勇んで奉仕するのです。

 そんな単純でお人好しのタイ人が好きです。こちらの日本人仲間にも声をかけ、一緒にミャンマーを応援しようと思います。コロナ禍にあっても、ビクビクせず、精魂込めて今を生きる、他者を思い祈りながら生きる、そういう魅力ある修道者でありたいと…。

(阿部羊子=あべ・ようこ=バンコク在住、聖パウロ女子修道会会員)

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2021年6月1日