・Sr.阿部のバンコク通信㉗来年は、タイのカトリック教会正式承認から350年

 「シャム国」として知られるタイ王国(1939年改称、現在はラマ10世が国王)は、仏教を国教とし、国民の94%が信奉する仏教国です。他の宗教の活動が制限を受けた時期もありましたが、現在は、信教の自由が保障され、宣教も容認されていて、今では30万余人の信心深いカトリック信徒に恵まれています。

    カトリックの信仰は、16世紀のアユタヤ王朝の時代にポルトガル船が国交を求めて入港したのが始まり(詳細な記録はありません)、とされています。その後、ドミニコ会、フランシスコ会、パリ外国宣教会、イエズス会の宣教師が、次々とタイ国を訪れました。

    宣教師の間で、仏教文化信仰に不寛容尊敬を欠く姿勢を持つ者があり、制裁を受けたりすることもあって暫くは沈滞の時期もありました。教皇庁は事態を問題視し、慎重に検討を続けたあと、寛容こそが大事な宣教姿勢」と現地の宣教師たちも認識するに至り、ナライ王時代の1669年に、教皇正座から正式にタイ国のカトリック教会が承認されました。そして特に教育、福祉部門に貢献しながら、カトリックの信仰がタイ国に根ざす形で発展し、現在に至っています。

    来年は教皇正座からタイ国のカトリック教会が承認されて350周年。記念の年を前に、全国の教会では、年間の感謝と決意の祈りが用意され、幟が掲げられ、日々の祈りが捧げられるなど、聖職者、信徒こぞって準備を進めています。

    タイの人々の信仰心は、単純素朴で感性豊か。一緒に祈り感謝の祭儀に与っていると、「頭でっかちで理屈っぽい信仰」が、「柔らかく優しい、素直な信仰心」に変えられていくのを感じます。私の理屈の座ではなく、心身に、主が語られるのを実感し、信仰宣言と宣教の意義を新たにする毎日です。

(阿部羊子=あべ・ようこ=バンコク在住、聖パウロ女子修道会会員)

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2018年11月30日 | カテゴリー :